荒井金助

荒井 金助

荒井金助（あらい きんすけ）は、1808年に江戸で生まれ、1867年に亡くなった江戸時代末期の役人である。彼は主に石狩役所での調役を務め、地域の開拓や発展に多大な貢献をした。しかし、彼は明治維新を迎えることなくその生涯を閉じることとなった。

経歴

荒井金助は文化5年（1808年）、江戸に生まれた。彼の家庭は四川川（鬼怒川・小貝川・利根川・江戸川）の用水普請に関与する御家人の家系で、父である龍蔵の後を継いで御普請役を務めた。1845年には小普請方当分仮役に任ぜられ、その後京都の朝廷の用務役人としても活動したが、上司との対立により左遷され、江戸に戻る羽目になった。

1857年、荒井は堀利煕の下で箱館奉行に就任し、しばらく経った後、石狩役所の調役にも任じられた。彼はこの役職において石狩役所管内を巡視し、石炭や石油の新たな産出地を発見。また、漁場の請負人を廃止し自由な出願制に移行させることで漁場を開放し、地域の商人が直接江戸への産物の出荷を可能にした。これにより、人口増加を促進させることに成功した。

1858年には、直場処詰合への役人配置を行い、地域住民が平時は農業に従事し、有事には武装する「在住」を入植させた。また、サケ漁の資源保護のため、一部の地域で漁を禁じる法律を整備し、持続可能な資源管理にも取り組んだ。

1859年に調役に昇格した荒井は、農民を募って「荒井村」を設立し、後に篠路村の基礎を築いた。また、琴似の米作りでの成功を受け、早山清太郎を篠路開拓に導くなど、地域開発に熱心に取り組んだ。さらに、樺太の久春内へ部下を送り出し、警備や漁場の経営も行っていた。

しかし、奉行の異動に伴い、荒井は新しい奉行と対立を深め、1863年には税関に転任させられるなど梯子を外される思いをした。そして1864年には室蘭の調役を任じられることとなった。1866年4月には岡本文平が樺太全土を探検して来訪し、荒井は彼を将軍後見職の一橋慶喜に紹介するための手紙を書いた。

最期

同年6月、箱館奉行に呼ばれた荒井はその後室蘭へ戻る直前、急な熱病を患い、現地で静養することとなった。11月24日、彼の状態が急変し、翌日には姿を消してしまう。捜索の結果、10日後に五稜郭の堀で遺体が見つかり、熱にうなされ寝巻き姿でさまよっていたと考えられている。

墓碑

荒井金助の墓は札幌市北区の龍雲寺にあり、早山清太郎の墓と並んで建てられている。また、札幌伏見稲荷神社にも碑が存在する。さらに、石狩市の弁天歴史公園には、「先人たちの碑」として彼の姿が描かれているが、彼の肖像は残っていない。

脚注

荒井金助の業績は、彼自身の影響だけでなく、その後の地域の発展に大きな影響を与え続けている。彼の活動を振り返ることは、地方行政の重要性を再認識させる契機でもある。

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