荘公贖

斉の第12代君主 荘公贖：長く続いた治世と時代の変動

荘公贖（そうこうしょく）は、中国古代、春秋時代の斉（せい）という国で活躍した第12代君主です。紀元前8世紀から紀元前7世紀にかけて、およそ60年以上にわたる長い治世を送り、その間には周（しゅう）王朝や周辺諸国で大きな変化が起きました。

荘公は、諡号（しごう）であり、彼の本名は贖（しょく）です。文献によっては「荘公購」と表記されることもありますが、これは「贖」の誤記だと考えられています。また、後世にも同じ諡号「荘公」を贈られた君主がいるため、区別するために「前荘公」と呼ばれることもあります。

荘公は、前代の成公の子として生まれました。成公9年（紀元前795年）、成公の崩御に伴い、若き贖が斉の君主の座を継ぎます。以降、彼は「荘公」と呼ばれました。

荘公の治世は、周王朝や周辺諸国において激動の時代と重なりました。『史記』によれば、荘公24年（紀元前771年）に周の幽王が犬戎（けんじゅう）という民族に殺害され、周の都は洛陽（らくよう）へと東遷しました。これは周王朝の衰退を象徴する出来事であり、春秋時代の始まりを告げる重要な転換点でした。

さらに、荘公24年（紀元前739年）には、晋（しん）の昭侯が臣下によって暗殺されるという事件も起きています。これらの出来事は、荘公の治世が、権力争いや社会不安が頻発する時代であったことを示しています。荘公自身も、こうした混乱期を長きに渡り生き抜き、斉の安定に尽力したと考えられます。

荘公の治世は長く、64年に及んだとされています。荘公64年（紀元前731年）、荘公は崩御しました。その後、彼の息子である禄甫（ろくほ）が斉の君主となり、釐公（りこう）を称しました。

荘公の治世は、周王朝の衰退と春秋時代の始まりという大きな歴史的転換期と重なり、周辺諸国の動乱も経験した時代でした。長く続いた彼の治世は、斉という国にとって、安定と発展をもたらしたのでしょうか、それとも、時代の波に翻弄された時代だったのでしょうか。史料からは、その詳細な様子を知ることは困難です。しかし、彼の長い治世が、斉の歴史において重要な役割を果たしたことは間違いありません。

史料

『史記』巻三十二　斉太公世家第二

参考文献

小竹文夫・小竹武夫訳『筑摩世界文學大系6 史記1』（筑摩書房、1999年）

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