荘村清志

荘村清志：クラシックギター界の巨匠

荘村清志（しょうむら きよし）は、1947年岐阜県岐阜市に生まれた、日本を代表するクラシックギタリストです。その卓越した技術と、情感豊かな演奏で、国内外の多くの人々を魅了し続けています。

生い立ちと音楽との出会い

9歳より父である荘村正人からギターの手ほどきを受け、その後、小原安正に師事しました。1963年には、来日した世界的ギタリスト、ナルシソ・イエペスに才能を見出され、翌年から4年間スペインに留学。イエペスの薫陶を受け、研鑽を積みました。

1967年にはマドリード王立音楽院を中退し、イタリア各地でリサイタルを開催。翌年にはミラノをはじめとする22都市で公演を行い、国際的な舞台で活躍を始めました。1969年に帰国後、日本デビューリサイタルを開き、その才能が高く評価されました。

1971年には、イタリアで開催された世界青少年協会国際フェスティヴァルに日本代表として参加し、成功を収めました。これを機に北米各地で28回に及ぶ公演を行い、国際的な名声を確立しました。1974年と1981年には、NHK教育テレビ「ギターを弾こう」に講師として出演し、幅広い層にその名を知られるようになりました。2007年には、NHK教育テレビ「趣味悠々」の講師として再登場しています。

幅広い活動と音楽への貢献

荘村清志は、演奏活動に加え、後進の育成にも力を注いでいます。また、日本人作曲家への作品委嘱を積極的に行い、現代ギター作品のレパートリー拡大に大きく貢献しました。特に、武満徹には「フォリオス」（1974年）と「エキノクス」（1993年）を委嘱し、これらの作品は、現代ギター音楽の重要なレパートリーとなっています。また、「ギターのための12の歌」は、荘村清志のために編曲されたものです。

ジャンルを超えた共演も積極的に行っており、女優の岸田今日子、フォークシンガーの小室等、アコーディオン奏者のシュテファン・フッソングなど、多彩なアーティストと共演しています。その他、ギタリストの福田進一、鈴木大介、ピアニストの熊本マリ、フルート奏者の山形由美など、多くの音楽家との共演歴があります。近年では、ミラノ弦楽合奏団やスペインのビルバオ交響楽団など、海外の室内楽団やオーケストラとの共演も実現しています。2010年2月には、ビルバオ交響楽団のソリストとして日本ツアーを行いました。

武満徹との出会い

荘村清志が武満徹に初めて作品を依頼する際、面識がなかったにもかかわらず、直接自宅に電話をかけ、面会を申し込んだというエピソードがあります。当時、武満は「ノヴェンバー・ステップス」で世界的な名声を確立しており、荘村自身は「雲の上の存在だった」と語っています。武満は作曲を迷ったものの、夫人の「若い音楽家の為に書いてあげなさいよ」という言葉を受け、「フォリオス」を作曲しました。この出会いをきっかけに、武満はその後もギター作品を手がけるようになり、死の半年前に書かれた「森のなかで - ギターのための3つの小品 -」の第二曲は、荘村に捧げられています。

演奏への探求

若い頃から、年齢を重ねることによる指の衰えを恐れていた荘村ですが、50代の頃から力を抜く奏法を習得し、指の動きが向上したといいます。また、その頃から、湧き上がる感情に身を任せて自由に演奏することや、演奏中に客席の反応を楽しむなど、心から演奏を楽しめるようになったと語っています。

多方面への影響

LOUDNESSの高崎晃が1980年代後半に荘村からクラシックギターを習っていた時期があり、高崎は当時NHKから発行されていた荘村の教則本を1ヶ月でマスターしたというエピソードも残っています。

荘村清志は、その音楽性、演奏技術、そして音楽への真摯な姿勢を通して、クラシックギター界に多大な貢献をしています。彼の演奏は、多くの人々に感動を与え、音楽の素晴らしさを伝えています。

ディスコグラフィー（一部）

《愛のロマンス》
《郷愁のショーロ》
《荘村清志2002　アルハンブラの想い出》
《天使のミロンガ》
《「森のなかで」荘村清志／武満 徹へのオマージュ》
《タルレガ：グラン・ホタ／武満 徹：エキノクス》
* 《カタロニア郷愁～鳥の歌》

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