荘献世子

荘献世子について

荘献世子（そうけんせいし、またはチャンホンセジャと呼ばれる）は、1735年2月13日に生まれ、1762年7月12日に亡くなった、李氏朝鮮第21代国王英祖の次男です。彼の名前は李愃（ソン）であり、思悼世子（しとうせいし）としても知られています。荘献世子は、後に第22代国王正祖の父であり、第23代国王純祖の祖父、第24代国王憲宗の高祖父、第25代国王哲宗の曾祖父でもあります。

生涯の概要

荘献世子は、母親の違う兄、孝章世子が早世したため、わずか2歳で王世子に正式に任命されました。彼は10歳の時に恵慶宮洪氏と結婚し、若いながらも王族としての役割を果たすこととなりました。彼は少論派の学者たちから教育を受け、老論派との対立が考えられる政治の場で育ちました。

1749年、英祖が荘献世子に政務を代理させるようになった際、老論派は貞純王后と共謀し、彼に対して讒言を行い、世子を陥れようとしました。この時期、英祖との関係の緊張が増し、荘献世子の精神状態は悪化していきました。彼の精神的な苦悩は『恨中録』（恵慶宮洪氏の随筆）にも言及されています。

学界では、政争だけが彼の精神的苦痛の原因とはされておらず、英祖の過度な期待が彼に対する叱責や侮辱として現れたことが、荘献世子の行動に影響を与えたとされています。

悲劇的な運命

1749年の出来事以降、荘献世子は精神的な異常をきたし、最終的には殺人を犯してしまいます。この事態を受けて、英祖は甥である羅景彦が世子の非行を訴えると、これを信じて荘献世子を排除しようとします。1762年、英祖は李愃を米櫃の中に閉じ込め、8日後に彼は餓死しました。この出来事は「壬午士禍」と呼ばれています。

この非業の死を経て、英祖は彼の命を悔い、特別な諡号を与え「思悼綏徳敦慶弘仁景祉章倫隆範基命彰休賛元憲誠啓祥顕熙荘献世子」としました。1777年には、彼の子である正祖によって「荘献」の名で追尊されました。さらに、彼の墓は当初の梨峰山から水原に移動されました。1899年、義理の玄孫である高宗により、廟号「荘祖」と「懿皇帝」という諡号が追加で授けられました。

家族構成

荘献世子は英祖の次男として、さまざまな王子や王女を持つ家族の中で生活しました。彼の母である恵慶宮洪氏は、彼に大きな影響を与えました。彼は自らも父王の期待を背負いながらも、重圧に苦しむこととなります。

文化への影響

荘献世子の不幸な運命は、朝鮮の歴史の中で特異な存在として残されています。彼の人生を題材にした作品は多く、特に「思悼世子刑死」をテーマにしたドラマが数多く制作されています。彼とその周囲の歴史についての考察は、さまざまな文化的メディアで表現され続けています。

映画とドラマ

荘献世子にまつわる作品としては、映画『永遠なる帝国』(1995年)、『美人図』(2008年)、『王の運命 -歴史を変えた八日間-』(2015年)などがあります。また、テレビドラマも数多く制作されており、『イ・サン』(2007年〜2008年)、『風の絵師』(2008年)、『秘密の扉』(2014年)などが挙げられます。これらの作品は、彼の悲劇的な物語をさまざまな視点から描き出しています。

荘献世子の複雑な物語は、今なお多くの人々の関心を惹きつけ続け、歴史の中での彼の位置づけを改めて考えさせられる要素となっています。

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