荻江露友

荻江露友とその家系の歴史

荻江露友（おぎえ ろゆう）は、江戸時代中期から受け継がれる伝統音楽の流派、荻江節の創始者です。彼は多くの弟子を持つ家元として知られ、荻江節は今もなおその名を持つ重要な音楽ジャンルとして、人々に親しまれています。

初代 荻江露友

初代桂荻江露友は生年不詳ですが、天明7年に逝去しました。本名は千葉であり、陸奥弘前藩の千葉源左衛門の子息でした。彼は長唄の名手・松島庄五郎の弟子で、1766年から1768年までの間、江戸の市村座で活動していました。引退後は、自らのスタイルを確立し、吉原の遊郭でお座敷風の長唄を広めることに成功しました。

露友は弟子に名を譲り、「長谷川泰琳」と改名して引退しましたが、『びんずる』という曲が作曲され、今でも伝承されています。荻江節は彼の功績によって多くの人々に楽しまれるようになりました。

2代目 荻江露友

2代目は初代の弟子で、姓は有田という名前を持つ人物でした。通称は栄橘で、安永時代に初代の名を襲名しましたが、芸の実力は初代と比べ劣っていたと言われています。彼の時代は詳しくは分かりませんが、初代からの流派を引き継ぐ重要な存在でした。

3代目 荻江露友

3代目の詳細は不明ですが、異説があり、2代目の弟子である荻江露鶴の子・喜仙が1847年にこの名を襲名したとされています。他の説では、吉原の遊郭・玉屋の主人である山三郎が名を継いだとも言われています。そのため、彼の活動については多くの謎が残されています。

4代目 荻江露友

4代目は天保7年に生まれ、明治17年に没しました。本名は飯島喜左衛門で、姓は井口です。彼は近江屋という屋号を持ち、江戸の深川北川町で米穀商を営んでいました。裕福な家庭で育ったため、彼自身も豪華な生活を享受しました。1876年には長らく途絶えていた露友を襲名しました。また、当時の落語家・三遊亭圓朝による創作「荻江の一節」のモデルとなったことでも知られています。

彼の墓所は東京都江東区の因速寺にあります。彼の家系は信濃国安曇郡穂高に由来し、宿場町で問屋を務める旧家だったことも、彼の背景に影響を与えています。

5代目 荻江露友

5代目は、1892年に愛知県名古屋市で生まれ、1993年に逝去しました。本名は前田すゑで、日本画家の前田青邨の妻でもあります。彼女は10代で上京し、琴を萩岡松韻に師事し、長唄や鼓、河東節など多方面にわたり学びました。特に荻江節は実姉から伝授され、1956年には5代目を襲名しました。

彼女は文化活動にも積極的で、1966年には作曲した『蝉丸』がNHKの出品で芸術祭奨励賞を受賞し、続いて1971年には日本芸術院賞を受賞。1973年には香淳皇后の古稀を祝う演奏を行い、勲三等瑞宝章を受章しました。このように、彼女は荻江流の名を世界に広める大きな役割を果たしました。

今に続く荻江節は、彼女の活動によってもその伝統が守られており、次世代への受け継ぎが期待されています。荻江露友の家系は、代々にわたって日本の音楽文化の重要な一翼を担ってきたことが分かります。

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