菅原神社 (薩摩川内市東郷町藤川)

菅原神社（藤川天神）

鹿児島県薩摩川内市東郷町藤川に鎮座する菅原神社は、地元では「藤川天神」として親しまれています。学問の神様として名高い菅原道真公を祀り、その御神徳を慕って多くの人々が参拝に訪れます。特に受験シーズンには合格祈願の参拝者が後を絶ちません。

歴史

菅原道真の隠棲伝説

藤川天神は、大宰府に左遷された菅原道真公がこの地に隠棲し、生涯を終えたという伝説に基づいて創建されたと伝えられています。古くは太宰府天満宮の所領であり、その影響を色濃く残しているとされています。しかし、鹿児島大学の日隈正守氏の研究によれば、藤川が太宰府天満宮の所領ではなく、薩摩国分寺の所領であった可能性も指摘されています。

豊臣軍による破壊と再興

戦国時代、豊臣秀吉による九州平定の際、東郷は豊臣軍の侵攻を受け、藤川天神も社殿や宝物、古文書などが焼失しました。これにより、神社の創建に関する詳しい記録は失われてしまいましたが、江戸時代に入り、薩摩藩主島津光久公の命によって再建されました。

江戸時代以降の藤川天神

文化12年（1815年）には、薩摩藩主島津重豪公の命により、社殿の修築が行われました。また、歌人の八田知紀もこの地を訪れ、歌を詠んでいます。
江戸時代の地誌「三国名勝図会」にも、藤川天神の様子が絵図付きで紹介されています。
明治時代に入り、1875年（明治8年）には大規模な改修が行われ、1910年（明治43年）には近隣の神社を合祀し、菅原神社の摂末社となりました。

境内

境内には、道真公の墓と伝えられる塚があります。かつては大きな松の木がありましたが、台風で倒れ、現在は小さな杉の木が植えられています。また、参道の脇にも道真公の墳墓とされる塚があります。

本殿の隣には、合祀された現王神社が鎮座しています。

境内入口付近には、西郷隆盛の愛犬ツンの銅像があります。このツンは、もともと藤川の農家に飼われていた犬で、西郷隆盛に譲渡されたという逸話が残っています。

藤川天神の臥龍梅

藤川天神の境内には、国の天然記念物に指定されている「臥龍梅」があります。この臥龍梅は、道真公が手植えした梅が繁殖したものと伝えられており、約150本もの梅の木が境内を彩ります。その中でも約50本は、龍が伏せたように幹が地面を這う珍しい形状をしており、開花時期には多くの花見客が訪れます。

交通アクセス

薩摩川内市街から国道267号、鹿児島県道46号阿久根東郷線を経由して約30分でアクセスできます。

参考文献

橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄 著、島津久光 編『三国名勝図会』薩摩藩、1843年。
東郷町郷土誌編集委員会『東郷町郷土史』東郷町、1969年。
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。
東郷町郷土誌編纂委員会『東郷町郷土史 続編』東郷町、2003年。
日隈正守『菅原道真伝説に関する一考察 : 藤川天神の場合を中心に』 64巻〈鹿児島大学教育学部研究紀要人文・社会科学編〉、2013年3月12日。

関連項目

天神信仰
天神祭
植物天然記念物一覧

外部リンク

薩摩川内市立川内歴史資料館 菅原道真伝説
藤川校区に残る史跡や校区内の名所

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