華雲龍

華雲龍（か うんりゅう）

華雲龍は、元末から明初にかけて活躍した軍人です。至順3年（1332年）に濠州定遠県で生まれ、洪武7年（1374年）に43歳で亡くなりました。

生涯

華雲龍は、元末の混乱期に人々を集めて韭山に居住していました。至正12年（1352年）、朱元璋が挙兵すると、華雲龍は彼に帰順し、その後の朱元璋の勢力拡大に大きく貢献することになります。

初期の活躍

至正13年（1353年）、華雲龍は朱元璋に従って滁州を攻撃し、軍人としてのキャリアをスタートさせました。至正15年（1355年）には和州攻撃に参加し、千夫長に昇進。朱元璋に従って長江を渡り、至正16年（1356年）には采石の水寨と方山営を撃破するなど、目覚ましい活躍を見せました。さらに集慶路攻略では、元の将を生け捕りにし、1万人の兵を得るという大戦果を挙げました。

徐達に従って鎮江を攻め落とし、総管に任じられた後も、華雲龍は広徳攻略で旧館での戦いに参加し、湯元帥を捕らえて右副元帥に昇進しました。

龍江の戦いでの活躍

至正20年（1360年）の龍江の戦いでは、華雲龍は石灰山に兵を伏せ、戦局が膠着状態に陥った際に、自ら馬を躍らせて敵の中堅を突破しました。これにより陳友諒の兵は崩壊し、華雲龍は勝利に乗じて太平を奪還しました。この戦いでの活躍は、華雲龍の武勇を示すものとして特筆されます。

各地での転戦

至正21年（1361年）から翌年にかけて、華雲龍は朱元璋に従って九江、南昌を陥落させ、さらに瑞州、臨江、吉安を攻め下しました。至正23年（1363年）から翌年にかけては、朱元璋に従って安豊を救援し、彭蠡で戦い、武昌を平定するなど、各地の戦でその武功を重ねていきました。これらの功績により、華雲龍は豹韜衛指揮使に任じられました。

至正26年（1366年）、華雲龍は徐達に従って高郵を奪い、淮安を攻め落としました。淮安の守備を任された後、淮安衛指揮使に転じ、その後嘉興を攻め、張士誠の将である宋興を降伏させました。さらに、平江を包囲し、胥門に駐屯しました。

明朝建国と北伐

洪武元年（1368年）、華雲龍は北伐に参加し、山東の州県を攻略してまわりました。徐達と通州で合流した後、元の都である大都を攻め落とすという歴史的な戦いにも参加しました。華雲龍はその功績により、大都督府僉事に抜擢され、総六衛兵留守兼北平行省参知政事を務めました。

翌年、雲州を攻め落とし、平章の火児忽答と右丞の哈海を捕らえました。さらに都督同知に進み、燕王左相を兼任しました。洪武3年（1370年）冬には、その功績が認められ、淮安侯に封じられ、世襲の権利を与えられました。華雲龍は北辺の軍事について洪武帝（朱元璋）に進言し、その提案は採用されました。また、元の平章である僧家奴の陣営を襲撃し、捕縛するという戦果も挙げました。

晩年と死

華雲龍は、燕王朱棣の邸宅を建設し、北平城を増築する計画にも深く関わりましたが、洪武7年（1374年）、元の丞相トクトの邸宅を私的に占拠し、元の宮中にあった物を勝手に使用していたことが発覚しました。南京に召還されることになり、その道中で死去しました。享年43歳でした。

死後

華雲龍の跡は子の華中が継ぎましたが、李文忠の死去の際に薬を献上したことが罪に問われ、華中も亡くなりました。さらに、洪武23年（1390年）には、華中が胡惟庸の仲間とされたことで、爵位を剥奪されました。

華雲龍は、その武勇と戦略眼で明朝の建国に大きく貢献した人物ですが、晩年の不正行為が原因で、一族の栄華は長くは続きませんでした。しかし、彼の功績は明史に記録され、後世に語り継がれています。

もう一度検索