華高

華高（か こう）は、生年不詳ながら1371年にその生涯を閉じた、元末から明初にかけての軍人です。和州を本貫とし、その人生は激動の時代と深く結びついていました。

朱元璋への帰順と初期の活躍

至正15年（1355年）、華高は兪通海（ゆ つうかい）らと共に巣湖（そうこ）の水軍を率いて、後の明の太祖となる朱元璋（しゅ げんしょう）に帰順しました。この決断が、彼の運命を大きく変えることになります。朱元璋の麾下に入った華高は、その軍事的な才能を発揮し、太平（たいへい）攻略戦で重要な役割を果たし、その功績により総管に任じられました。

翌年の至正16年（1356年）には、采石（さいせき）や方山（ほうざん）での戦いで敵兵を打ち破り、その勢いを増しました。さらに、集慶（しゅうけい）や鎮江（ちんこう）を陥落させ、秦淮翼（しんわいよく）の元帥に転じました。鄧愈（とうゆ）と共に広徳（こうとく）を攻撃した際には、敵将が城下で厳重な警戒を敷いており、華高が数騎で挑発しても、敵は動じませんでした。しかし、華高は果敢にも敵陣に強襲をかけ、見事に撃破し、広徳城を奪取するという大胆な戦いぶりを見せつけました。常州（じょうしゅう）平定にも従軍し、僉行枢密院事（せんこうすうみついんじ）に昇進しました。

陳友諒との戦いと湖広での活躍

至正19年（1359年）、華高は兪通海の副将として、柵江営（さくこうえい）で趙普勝（ちょうふしょう）を撃破しました。また、宿敵である陳友諒（ちんゆうりょう）を破り、長興（ちょうこう）を救援、さらには武昌（ぶしょう）を攻略するなど、目覚ましい戦果を上げました。これらの功績が認められ、湖広行省（ここうこうしょう）の左丞（さしょう）に任じられました。その後も、水軍を率いて淮東（わいとう）を攻め落とし、浙西（せっせい）を奪取するなど、その活躍は多岐にわたり、湖広行省平章政事（ここうこうしょうへいしょうせいじ）にまで昇進しました。

広徳侯への封爵と晩年

洪武3年（1370年）、華高は広徳侯（こうとくこう）に封じられ、その功績が改めて称えられました。しかし、華高は臆病な性格で、子供がいなかったため、自ら志願して洪武帝（朱元璋）の宿衛（しゅくえい）を務めることになりました。征討の命令があっても、病気を理由に戦場へ赴くことはありませんでした。水軍の調練を命じられた際には、口下手で同じ言葉を繰り返すばかりだったと言われています。しかし、洪武帝は旧知の仲であったため、これを容認しました。

勲臣の多くが辺境に派遣される中、華高だけは派遣されませんでした。しかし、広東（カントン）の辺海城堡（へんかいじょうほ）の修繕任務が与えられた際、華高は自ら志願してこの任務に赴き、洪武4年（1371年）4月に修繕工事を完了させました。その後、瓊州（けいしゅう）で亡くなり、その生涯を閉じました。死後、巣国公（そうこくこう）を追封され、武荘（ぶそう）と諡（おくりな）されました。

甥の華岳（かがく）は、後に指揮僉事（しきせんじ）に任じられました。華高の生涯は、元末から明初という激動の時代を生き抜いた一人の武将の物語として、後世に語り継がれています。

参考文献

* 『明史』巻130 列伝第18

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