菱刈隆永

菱刈隆永：教育者としての生涯

菱刈隆永（ひしかり たかなが、1922年8月6日 - 2022年8月18日）は、日本の教育者であり、東京都立八王子東高等学校の第2代校長を務めた人物です。東京都出身で、父は菱刈隆。専門分野は日本史でした。

若き日の歩みと学問

1940年4月に東京府立第一中学校を卒業後、1941年4月に旧制第一高等学校に入学。しかし、時代は大東亜戦争（太平洋戦争）の最中であり、一高を1943年9月に繰り上げ卒業することとなりました。同年10月には東京帝国大学文学部国史学科に進学。同級生には、後に歴史家となる色川大吉、土田直鎮、虎尾俊哉、尾藤正英、高橋昌郎らがいました。学徒出陣の状況下でありましたが、肺浸潤のため兵役を免れ、大学に留まることとなります。しかし、終戦までの2年間は農村や軍需工場への動員が頻繁に行われました。東京大学文書館には、彼自身による記録『第一軍需工廠配属　東京帝国大学文学勤労報国隊報告書』が残されています。この記録は、当時の学生たちの苦労を今に伝える貴重な資料となっています。

教員としてのキャリア

1年の留年を経て1947年に東大を卒業後、家族の疎開先であった群馬県に移り住み、群馬県立高崎中学校（現：群馬県立高崎高等学校）に教員として就職。1949年には、在職中に石坂富司と共に『世界歴史年表』を出版。この年表は、世界史を学ぶ学生たちにとって非常に有用な参考書となりました。1950年に上京し、東京都立駒場高等学校に26年間勤務。その後、1976年に都立千歳高校教頭に就任し、1980年には旧知の仲であった石坂の後任として東京都立八王子東高等学校長となりました。

退職後の活動と晩年

教員を退職した後も、菱刈隆永は教育への情熱を失うことなく、国立歴史民俗博物館にて同振興会の普及部長を務め、同博物館友の会を立ち上げるなど、精力的に活動しました。永きにわたり日本の歴史教育に貢献した菱刈隆永は、2022年8月18日にその生涯を閉じました。

著書一覧

『世界歴史年表』1949年
『日本史史料』（共著）1969年、吉川弘文館
『古代国家と女性』1972年、評論社
『日本史マニュアル (整理と演習)』1986年、山川出版社

菱刈隆永の著作は、日本史研究における重要な貢献であり、彼の教育者としての足跡を今に伝えています。

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