萩原美雅

萩原美雅（はぎわら よしまさ）

萩原美雅は、江戸時代中期に幕府の要職を歴任した旗本です。通称を善次郎、三左衛門、源左衛門といい、従五位下、伯耆守の官位を持ちました。77歳で生涯を閉じ、その間、幕府の財政や外交、土木事業に大きく貢献しました。父は勘定を務めた萩原久茂です。

経歴

もとは勘定奉行配下の御家人でしたが、元禄5年（1692年）に勘定役となり、蔵奉行、勘定組頭と順調に昇進しました。特に、6代将軍徳川家宣の時代、新井白石による正徳の治が始まると、その実務能力を買われ、勘定吟味役という重要な役職に抜擢されました。

一度は二丸留守居に転じますが、その後、勘定吟味役に復職し、佐渡奉行、長崎奉行、そして最終的には勘定奉行へと、そのキャリアを着実に積み重ねていきました。この間、貨幣改鋳事業、朝鮮通信使の江戸来訪時の道中点検、諸国鉱山の差配、長崎への廻銅政策、幕府による長崎貿易への介入政策など、多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。

特に注目されるのは、享保7年（1722年）に実施した大井川の治水工事です。約500間（約900メートル）に及ぶ堤を築き、その技術力と功績は、地元の人々から「源左衛門様堤」として長く語り継がれています。

年譜

1692年（元禄5年）11月2日：勘定役
1700年（元禄13年）4月22日：蔵奉行
1701年（元禄14年）4月7日：勘定組頭
1712年（正徳2年）7月1日：勘定吟味役（200石加増）
1716年（享保元年）3月22日：二丸御留守居
1720年（享保5年）5月9日：勘定吟味役
1732年（享保17年）閏5月1日：佐渡奉行
1736年（元文元年）10月28日：長崎奉行
1736年（元文元年）12月16日：従五位下伯耆守に叙任
1743年（寛保3年）1月11日：勘定奉行
1745年（延享2年）4月4日：死去


萩原美雅は、幕府財政の中枢を担い、様々な困難な課題に果敢に取り組み、江戸幕府の安定に大きく寄与した人物と言えるでしょう。

参考文献

『寛政重修諸家譜』巻第四百七十三

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