蒼龍 (空母)

蒼龍（そうりゅう）

蒼龍は大日本帝国海軍の航空母艦であり、日本初の本格的な空母として運用された艦艇です。艦名は、過去の艦船「御召艦蒼龍」に由来しています。

特徴

蒼龍は、航空巡洋艦としての設計案が検討された後、最終的に先行艦の運用経験をもとに設計されました。建造の過程では第四艦隊事件により被害が生じたこともあり、工事が幾度も見直されました。結果的に戦後も「そうりゅう型潜水艦」に引き継がれる名称となりました。

艦橋は右舷前部に設置され、右舷中部には煙突が2基あります。格納庫は二層式で、エレベーターは3基ありました。蒼龍は合計150,000馬力の機関を搭載し、最大速力は34.9ノットに達し、日本海軍の中で最も速い航空母艦の一つでした。しかし、排水量制限のために搭載可能な航空機の数は大型空母よりも少なく、排気や給気が外付けの通風筒を通じて行われる構造が特長でした。

艦上機の識別については、飛行甲板の後端に「サ」という記号が記されていたという説や、無記入だったとの異論があります。しかし、ミッドウェー海戦時の空撮には確認できる記号が写っていないことが多く、議論を呼んでいます。

構造と設備

艦は複数の小改装を経て運用され、右舷に設置されたマストは竣工時から変化を遂げ、艦端の信号マストを含め5本に増えました。25ミリ機銃は14基搭載され、艦首への搭載が初となる特殊な装備もありました。着艦標識や滑走静止装置は建造当初から設置され、後の日本空母の規格となりました。

蒼龍の航空機格納庫は、密閉式で爆風を逃す作りがなかったため、火災時に重大な問題を引き起こしました。この点は後のミッドウェー海戦における艦の喪失理由の一因とも言われています。

歴史

開戦前

日本はワシントン海軍軍縮条約が結ばれ、航空母艦の排水量制限が設けられました。しかし、蒼龍はこの制限から外れ、1934年に呉海軍工廠にて起工され、1935年に進水、1937年に竣工しました。その後、第二航空戦隊に編入され、数々の作戦に参加しました。

真珠湾攻撃

1941年の真珠湾攻撃では、蒼龍は第一航空艦隊に属し、爆撃機と攻撃機の大規模な連携を支援して成功を収めました。この作戦により多くの敵艦を撃沈する成果もありましたが、艦上機の損失も伴いました。

南方作戦

その後、蒼龍は南方部隊やダーウィン空襲への出撃など、様々な作戦に参加しました。これらの活動によって、蒼龍は重要な戦闘の一翼を担い、名を轟かせていきます。それでも、艦が無事であったわけではなく、何度かの損害を被りました。

ミッドウェー海戦

1942年6月に行われたミッドウェー海戦では、蒼龍が重要な役割を果たすこととなりましたが、アメリカの猛攻を受けることとなります。攻撃を開始した午前7時、敵機の攻撃に直面し、数発の爆弾が艦に命中。結果的に艦は沈没する運命をたどることになるのです。

6月5日午後、蒼龍は沈没し、718名の乗員が戦闘により戦死。艦長の柳本柳作もその中に含まれ、艦と共にその歴史は幕を閉じました。自衛隊においては、蒼龍の名を受けた潜水艦が現在も運用されています。

年表

• - 1934年: 11月20日、呉海軍工廠で起工。
• - 1935年: 12月23日、進水。
• - 1937年: 12月29日、竣工。
• - 1941年: 12月8日、真珠湾攻撃に参加。
• - 1942年: 6月5日、ミッドウェー海戦で沈没。

これらの歴史的事跡から、蒼龍は日本海軍にとって特別な意味を持つ艦艇となったのです。

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