蔡撙

蔡撙の生涯と業績

蔡撙（さい そん）は、467年から523年まで生きた南朝宋から梁にかけて活躍した官僚であり、その名は歴史の中に深く刻まれています。蔡撙の本貫は済陽郡考城県であり、字は景節として知られています。彼は南朝宋の左光禄大夫である蔡興宗を父に持ち、家族の影響を受けつつ若い頃から才能を発揮しました。

若き日のキャリア

蔡撙は早くから名声を得ており、兄の蔡寅と共に優秀な人材として知られていました。その後、国子生に選ばれ、高い地位に就くことになります。彼の初期の経歴では、司徒法曹行参軍としての職務をこなしました。この時期に、彼は多くの人から信頼される人材となり、後に斉の左衛将軍として名高い王倹のもとで主簿として働くことになります。

蔡撙は、その後も多彩な職務を歴任し、建安王文学や司徒主簿、左西属としても知られています。彼の忠実さと能力が評価され、さまざまな任務を遂行しました。

軍事的功績

西昌侯蕭鸞が鎮軍将軍になると、蔡撙もそのもとで従事中郎として任命されました。さらに、中書侍郎や給事黄門侍郎などの地位を経て、母の死後は服喪のために墓の近くに住むことになります。服喪を終えた後、彼は再び官職に戻り、太子中庶子や太尉長史に任じられましたが、いずれも就任を果たしませんでした。

梁が建国されると、蔡撙は侍中として迎えられ、臨海郡の太守として出向しました。しかし、事件に巻き込まれ、再び太子中庶子に左遷されます。再度侍中として任じられた後、呉興郡の太守に就任しました。ここでの彼の業績は特筆すべきものでした。

呉興郡の防衛

天監9年（510年）、宣城郡の官吏である呉承伯が反乱を起こし、数万人の兵を率いて呉興郡に侵攻しました。蔡撙は、兵力が不足している中で、逃げるように勧められましたが、彼は動かず、郡を守るために勇敢な兵を集め、抗戦を決めました。

彼は、多くの人々を鼓舞し、郡城の防衛に成功しました。彼の指揮により、反乱軍に対して効果的に反撃を行い、呉承伯を斬り、残敵を壊滅させました。この戦功により、信武将軍の称号が与えられました。

最後の年と評価

蔡撙はその後、度支尚書として建康に召還され、中書令に転じました。彼の後の功績も多く、信武将軍として晋陵郡の太守に就任し、さらには国子祭酒や吏部尚書などの地位を歴任しました。再び侍中や秘書監としても活動を行い、その名声はますます高まりました。普通2年（521年）には宣毅将軍、呉郡太守としての任務をこなしましたが、普通4年（523年）に57歳で亡くなりました。

彼の死後、侍中や金紫光禄大夫の位が追贈され、諡号に康子が与えられました。また、子の蔡彦熙は中書郎や宣城郡内史として活躍し、家族の名声を引き継ぎました。

蔡撙の生涯は、その勇敢な軍事指揮官としての資質と、官僚としての優れた業績が見事に融合したものであり、彼の名前は歴史に語り継がれています。

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