蔣欽

蔣欽（しょう きん）

蔣欽（生年不詳 - 219年）は、後漢末期の武将。孫策・孫権の二代に仕え、呉の建国に貢献しました。字は公奕（こうえき）。揚州九江郡寿春県（現在の安徽省淮南市寿県）の出身です。

生涯

元々は袁術配下でしたが、孫策にその才能を見出され、配下となりました。孫策の江東平定に従い、別部司馬として兵を率い、豫章郡攻略などで武功を挙げました。会稽郡では、呂岱と共に反乱を鎮圧し、討越中郎将に任じられます。

建安13年（208年）の赤壁の戦いには参加していませんが、その後の逍遥津の戦いでは、孫権の撤退を援護し、敵の追撃を防ぐ活躍を見せました。その功績により、盪寇将軍に任命され、濡須督を任されます。

建安22年（217年）の濡須口の戦いでは、呂蒙と共に曹操の大軍を迎え撃ちました。かつて蔣欽に恨みを持っていた徐盛がいましたが、蔣欽は徐盛の才能を高く評価し、その長所を孫権に進言しました。この蔣欽の私怨に捉われない態度に、徐盛は心服し、人々も蔣欽の徳を称えました。孫権も蔣欽の度量の大きさに感心し、右護軍に任命し、都に召還しています。

建安24年（219年）、呂蒙による荊州奪還作戦に参戦し、水軍を率いて沔水流域を制圧しますが、その帰路に病没しました。孫権はその死を深く悼み、喪服を着用して弔い、遺族には蕪湖の住民200戸と田200頃を与えました。

人物

蔣欽は、功績を挙げても奢ることなく、質素倹約を心掛けました。その生活ぶりを見た孫権は、蔣欽に豪華な衣服や装飾品を贈っています。

また、学問を疎かにしていたことを孫権に諭され、呂蒙と共に学問に励み、知識を深めました。

逸話

徐盛との関係を示す逸話が残っています。徐盛はかつて蔣欽の留守中にその部下を処罰したことがあり、蔣欽の報復を恐れていました。しかし、蔣欽は徐盛の才能を認め、孫権に推挙しました。孫権がその理由を尋ねると、蔣欽は「公の推挙に私怨を挟むべきではない」と答えました。この蔣欽の言葉に、孫権は感銘を受け、徐盛も蔣欽に心服したと伝えられています。

三国志演義

小説『三国志演義』では、周泰と共に水賊であったという設定で登場します。孫策軍に加わり、江東平定戦で活躍しますが、正史とは異なり、赤壁の戦いや南郡の戦いにも参加しています。劉備が孫夫人と呉から逃れる際には、周泰と共に追撃の任を受けました。関羽討伐戦に参加したのを最後に、物語から姿を消します。

家族

子：蔣壱（宣城侯を継ぐ）
子：蔣休（蔣壱の跡を継ぐが、罪を犯し所領と官位を失う）

蔣欽は、武勇に優れるだけでなく、私欲を捨て、国のために尽くした名将として、後世に語り継がれています。

もう一度検索