薛延陀

薛延陀の歴史と文化

薛延陀（せつえんだ、拼音：Xuēyántuó）は、6世紀から7世紀にかけて中央ユーラシアを拠点としたテュルク系の遊牧民族鉄勒に属する有力な部族です。彼らの中心氏族は一利咥氏と呼ばれ、この鉄勒諸部の中でも特に力を持つ存在でした。

薛延陀の起源と歴史的背景

薛延陀は、もともと薛種族と共存していた部族が延陀部族を滅ぼすことで形成されたといわれています。この背景には、6世紀初頭の都市間紛争や権力争いが関係しています。彼らの歴史は、様々な政権との関連を持ちながら進行していきます。

隋の大業元年（605年）、鉄勒諸部は西突厥からの攻撃を受けました。この時、薛延陀部は反乱の容疑がかけられ、指導者層の何百人が生き埋めにされるといった厳しい処罰が行われました。結果として、鉄勒諸部は新たにグループを形成し西突厥に対抗することとなります。

唐との関係と反乱

唐の貞観元年（627年）、薛延陀は反乱を起こしましたが、逃げ失うことになる歴史的な転換点を迎えます。頡利可汗が現れると、彼らは一時的に忠誠を誓い、後には再び反抗する複雑な政治状況の中で、部族間の権力分立が進行しました。

特に貞観2年（628年）以降、薛延陀部の権力者である夷男は、東突厥の頡利可汗政権との戦いに突入し、さらには唐との同盟を模索することとなります。夷男は唐の太宗から認められ、真珠毘伽可汗の称号を与えられるなど、重要な中堅として台頭します。

内部の権力争い

貞観12年（638年）には、夷男の二人の子息が小可汗に任命され、勢力を分けようとする様子が見られました。また、唐の朝廷は他の民族にも目を向け、かつての敵であった李思摩を可汗に立てる政策に転じます。この時期、夷男は李思摩への不満を強め、紛争はさらに激化します。

夷男の死とその後の動向

貞観19年（645年）、夷男が病死すると、彼の子孫による内乱が始まります。抜灼という新たな指導者が立つものの、彼は悪政を敷き、民の信頼を失う結果となります。この間、唐は彼らを討伐し、制圧の手を強めました。

最終的な滅亡

貞観20年（646年）の際、唐の軍事圧力によって薛延陀部はついに滅亡します。この時、残留勢力が存在しましたが、最終的には貴族の咄摩支が唐の社会に吸収されていくことになります。おもな部族長の歴史をもとに、薛延陀の社会構造、官職、武器、そして風俗は突厥と非常に似ていたとされています。

これまでの流れを見てみると、薛延陀は歴史の中で中央ユーラシアの重要な役割を果たし、さまざまな民族との関係性が彼らの盛衰を左右していたことがわかります。その影響は今日の中央アジアの民族構成にも見て取れるでしょう。

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