薛珝

薛珝（せつ く）

薛珝は、三国時代の呉に仕えた武将であり、豫州沛郡竹邑県（現在の安徽省宿州市埇橋区）の出身です。父は薛綜、弟は薛瑩、甥は薛兼と、官吏を多く輩出した家系でした。

生涯

孫休の時代、薛珝は五官中郎将という役職にあり、馬を買い求めるために蜀漢への使者として派遣されました。帰国後、孫休から蜀の政治について問われた際、薛珝は蜀の現状を率直に語りました。

「蜀の君主は暗愚で自分の過ちに気づかず、臣下は保身ばかりを考え罪を逃れようとしています。成都の朝廷では正しい意見が聞かれず、民衆は絶望しています。例えるなら、軒先に巣を作る燕の親子が、家の安全を信じて楽しんでいるうちに、棟木が燃え始めても災難に気づかないようなものです。」

薛珝の言葉通り、その後蜀は魏によって滅ぼされました。

宝鼎2年（267年）7月、孫晧は将作大匠となっていた薛珝に、清廟という廟の正殿と奥殿の建設を命じました。

建衡元年（269年）11月、晋の霍弋が交阯へ侵攻した際、薛珝は威南将軍・大都督に任命され、虞汜・陶璜と共に楊稷の進攻を防ぐことになりました。杖をつきながら南征に向かう薛珝の立派な姿は、下級役人であった吾彦を感嘆させたと言われています。

しかし、陶璜が二人の将軍を失う失態を犯すと、薛珝は激怒し陶璜を責めました。陶璜が言い訳をすると、薛珝はさらに怒って撤退しようとします。しかし、陶璜が董元に夜襲をかけ財宝を奪い取ることで、薛珝は怒りを鎮め、陶璜に交州の指揮を任せることにしました。

その後、陶璜らの活躍により、交阯の版図は回復しました。しかし、薛珝は交阯制圧からの帰還中に病に倒れ、そのまま亡くなってしまいました。

薛珝は、呉の国のために尽力し、外交官として、また武将として、その才能を発揮しました。彼の功績は、呉の歴史に深く刻まれています。

人物

薛珝は、冷静沈着で、状況を的確に判断する能力に長けていました。蜀の現状を燕の親子に例えた話は、彼の洞察力の高さを物語っています。また、武将としても、優れた指揮能力を発揮し、交阯の戦いでは、陶璜らを率いて見事な勝利を収めました。

参考文献

* 『三国志』張厳程闞薛伝

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