薛瑩

薛瑩（せつ えい）

薛瑩（生年不詳 - 282年）は、中国三国時代の呉に仕えた政治家です。字（あざな）は道言（どうげん）。豫州沛郡竹邑県（現在の安徽省宿州市埇橋区）の出身で、父は薛綜（せつ そう）、兄は薛珝（せつ きょ）、子に薛兼（せつ けん）、孫に薛顒（せつ ぎょう）がいます。

生涯

薛瑩は呉に仕え、当初は秘書中郎将（ひしょちゅうろうしょう）を務めました。孫休（そん きゅう）の時代には散騎常侍（さんきじょうじ）に、孫晧（そん こう）の時代には皇太子の補佐役や左国史（さこくし）に任じられるなど、重用されました。

建衡元年（269年）、陸凱（りくがい）が亡くなる直前に、国の支えとなる人物の一人として薛瑩の名を挙げています。これは、薛瑩が当時から将来を嘱望される人材であったことを示唆しています。

しかし、その後、土木工事の失敗が原因で孫晧の怒りを買い、交州（こうしゅう）へ流罪となります。この際には、華覈（かかく）の取り成しによって許され、中央に復帰しました。しかし、再び政争に巻き込まれて交州へ流されかけ、さらに獄中に投獄されるという苦難も経験します。この時は、陸抗（りくこう）の弁護によって許されています。

当初の『呉書』編纂者であった韋昭（いしょう）が亡くなり、右国史であった華覈が中央から去った後は、薛瑩が編纂の中心人物になったと考えられています。

呉の滅亡直前には光禄勲（こうろくくん）に就任しました。天紀4年（280年）に西晋（せいしん）が呉に侵攻してきた際（晋の呉征伐）、孫晧に対して降伏を勧め、自ら降伏文書を作成し、胡沖（こ ちゅう）と共に降伏の使者として司馬伷（しば ちゅう）、王渾（おう こん）、王濬（おう しゅん）の元へ赴きました。

呉の滅亡後は西晋に仕え、散騎中常侍（さんきじゅうちょうじ）に任じられ、『後漢書』（范曄（はんよう）の著物とは異なる）百巻を編纂しました。武帝から呉が滅びた原因を尋ねられると、「小人を信任し、刑罰を濫発したため、多くの人の不信感を招いた」と率直に答えたとされています。

太康3年（282年）に亡くなりました。

著作集として、『新議』八片集三巻があったと伝えられています。

家系図

(家系図の情報は省略)

参考文献

* 陳寿、裴松之注『正史 三国志』、井波律子・今鷹真・小南一郎 訳・解説（ちくま学芸文庫全8巻、1992 - 93年）、※呉書は6・7・8巻、小南一郎訳。

脚注

(脚注の情報は省略)

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