霍弋

霍弋（かく よく）

霍弋（かく よく）は、中国三国時代から西晋にかけての武将で、蜀漢と西晋に仕えました。字は紹先といい、荊州南郡枝江県の出身です。父は霍峻、伯父は霍篤といい、子や孫もまた官吏として名を残しています。

生涯

父の霍峻と同様に、霍弋は劉備に仕えました。劉備が亡くなる直前には太子舎人に任命され、劉禅が後を継ぐと謁者に登用されました。諸葛亮はその才能を高く評価し、若い頃には養子であった諸葛喬と共に各地を旅させ、見聞を広めさせました。

諸葛亮の死後、霍弋は黄門侍郎となり、皇太子であった劉璿の太子中庶子（補佐役）にも任命されました。劉璿が政務を顧みず、騎馬や射術に熱中していたため、霍弋は言葉を尽くして諫めました。

その後、永昌郡の獠族が反乱を起こすと、霍弋は永昌太守として討伐に向かい、首謀者を討ち取り反乱を鎮圧しました。その功績により、監軍・翊軍将軍・建寧太守に昇進し、庲降都督として益州南部の軍政を統括しました。

263年、安南将軍となった霍弋ですが、同年、魏が蜀征伐のために大規模な軍を起こしました。霍弋は成都へ駆けつけようとしましたが、劉禅は備えが十分であるとして許可しませんでした。蜀漢が滅亡したことを知ると、霍弋は喪服を着て哭礼を行い、三日間の喪に服しました。諸将が魏に帰順すべきだと進言する中、霍弋は劉禅の安否が判明するまで決して動こうとしませんでした。劉禅が降伏し、東へ移ったことを知ると、南中六郡の太守・大将を率いて魏に降伏しました。

魏に降伏後、司馬昭はその能力を認め、霍弋を信任しました。羅憲と共に呉との国境を守り、南中都督・護軍に任じられ、南蛮の平定に尽力しました。この頃、霍弋は強卒を率いて夜郎を鎮めました。

264年、交阯郡で郡吏の呂興が呉に対して反乱を起こすと、霍弋は呂興を救援するべきだと洛陽に上表文を送りました。救援のため出兵しましたが、到着前に呂興は部下に殺害されてしまいました。朝廷は霍弋に節を授け、交州刺史として官吏の任用を便宜させることにしました。霍弋は爨谷を交阯太守に推薦し、彼の死後には馬忠の子である馬融を、さらにその死後には楊稷に後を任せるよう上表しました。

霍弋は自ら寧州に入り、楊稷らを派遣して交州・広州を奪う計略を巡らせました。楊稷は毛炅・董元・孟幹・孟通らを率いて水陸二路から進軍し、古城において呉軍を破り、大都督の修則と交州刺史の劉俊を討ち取りました。呉は虞汜を監軍、薛珝を威南将軍・大都督、陶璜を蒼梧太守に任じ、楊稷を防がせ、分水で戦わせました。陶璜は敗走して合浦に籠り、配下の将軍二人を失いました。こうして交州（交阯・九真・日南の三郡）は平定され、霍弋は列侯に封じられました。

霍弋の死後の271年、呉は交州奪回のために陶璜らを派遣し、楊稷・毛炅らは城を包囲されました。霍弋は生前、「賊軍に包囲されて百日未満で降伏した者は家族を処刑する。百日以上して援軍が到着しなかったならば私が罪を引き受けよう」と言い含めていました。楊稷らは期日になって食糧が底を突き、援軍も到着しなかったため呉に降伏しました。このことから、霍弋の死はそれ以前であったことが分かります。

孫の霍彪は後に越巂太守となったと伝えられています。

東晋の時代になっても南中では官吏と異民族が融和しており、刑罰も適切に行われていました。これは全て霍弋の故事に従ったものでした。

三国志演義

小説『三国志演義』では、蜀の滅亡に際して登場し、史実同様に亡国の喪に服した後、劉禅の安否を確認してから魏に降伏する場面が描かれています。

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