薛兼

薛兼（せつ けん）

薛兼（生年不詳 - 322年）は、中国の晋代に活躍した官僚です。字は令長。豫州沛郡竹邑県（現在の安徽省宿州市埇橋区）の出身で、祖父は薛綜、父は薛瑩、伯父は薛珝という名門の家系に生まれました。子に薛顒がいます。

経歴

薛兼は、呉の薛瑩の子として生まれました。呉が滅亡すると、西晋に仕え、散騎常侍の位を受けました。若い頃から紀瞻・閔鴻・顧栄・賀循らと並び称され、「五俊」の一人とされました。初めて洛陽に入った際には、司空の張華に「みな南の金なり」と評されたと言われています。河南郡の孝廉に推挙され、公府に召されました。比陽国の相に任じられると、その有能さで名を馳せました。その後、太子洗馬・散騎常侍・懐県県令を歴任しました。

東海王司馬越に才能を認められ、司空参軍に抜擢され、祭酒に転じ、安陽亭侯の爵位を受けました。琅邪王司馬睿が安東将軍となると、その下で軍諮祭酒となり、丞相長史に昇進しました。爵位は安陽郷侯に進み、丹陽郡太守に任じられました。東晋が建国されると、丹陽尹に転じ、秩中二千石を加えられました。その後、尚書に転じ、太子少傅を兼ねました。祖父の薛綜から薛兼に至るまで、三代にわたって皇太子の傅役を務めたことは、当時非常に高く評価されました。

永昌元年（322年）、王敦に推挙され太常となりました。明帝が即位すると、散騎常侍の位を加えられました。薛兼は明帝の皇太子時代の師傅であったことから、明帝から格別の畏敬を受けました。しかし、その年のうちに亡くなりました。死後、左光禄大夫・開府儀同三司の位が追贈されましたが、王敦の乱による混乱のため、諡は贈られませんでした。

子に薛顒がいましたが、薛兼に先立って亡くなっており、後嗣はいませんでした。娘は孫倹（孫秀の子）に嫁ぎ、孫晷を産みました。

家系図

（家系図の情報は省略）

伝記資料

* 『晋書』巻68 列伝第38

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