薩谷和夫

薩谷和夫: 概要と作品

薩谷和夫（さつや かずお、1935年7月20日 - 1993年1月6日）は日本映画業界において極めて影響力のある美術監督であり、そのキャリアを通じて数多くの作品に携わりました。東京都に生まれた彼は、若い頃から美術に対する情熱を抱き、大学では文学を学ぶことになりましたが、青山学院大学を中退後、東宝撮影所の美術課に入社しました。

来歴とキャリアのスタート

彼のキャリアは、1960年代の怪獣映画、特に『ラドン』での翼の操演を手掛けたことから始まります。その後、黒澤明の美術監督である村木与四郎から指導を受け、さらなる技術を磨いていきました。薩谷の初めての美術監督作品は、加山雄三が主演する映画『俺の空だぜ!若大将』でした。この成功によって、彼は若大将シリーズの多くの作品に携わることになります。

大林宣彦との関係

薩谷は主に大林宣彦監督とのコラボレーションで知られています。彼は『HOUSE ハウス』で大林監督と出会い、その後の大林作品に美術監督として関わり続けました。『転校生』や『青春デンデケデケデケ』など、彼の手掛けた作品は多くの人々に愛され、記憶に残っています。

遺作と尾道への愛

晩年、薩谷は『水の旅人 侍KIDS』で美術を担当する予定でしたが、病気のため入院し、その後1993年に尾道で亡くなりました。彼の情熱は、尾道のスケッチ12枚の絵葉書として遺されています。これらは彼の愛した故郷を描いたものであり、彼の才能が色濃く表れた作品です。彼の墓は、彼が美術を担当した映画『さびしんぼう』の舞台にもなった尾道の西願寺にあります。

代表的な作品一覧

薩谷は、数多くの作品に参加し、美術監督として50以上の映画を手掛けています。代表的な作品には以下が含まれます：

• - 1966年：クレージーだよ奇想天外（美術助手）
• - 1967年：クレージー黄金作戦（美術助手）
• - 1970年：俺の空だぜ!若大将
• - 1977年：HOUSE ハウス
• - 1982年：転校生
• - 1983年：時をかける少女
• - 1993年：はるか、ノスタルジィ

受賞歴

彼の作品は高く評価されており、第12回日本アカデミー賞の優秀美術賞を受賞しています。彼の繊細な美術表現と独特の美的センスは、多くの映画ファンに愛され続けています。薩谷和夫の影響は今もなお、日本映画界に息づいています。

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