船政学堂

船政学堂の概要

船政学堂（せんせいがくどう）は、清代の船政大臣、沈葆楨によって1866年に福建省の福州、馬尾港に設立された海軍学校です。この学校は福建船政学堂、福州船政学堂、馬尾水師学堂とも称されています。船政学堂は設立当初は求是堂芸局として知られ、福建地域における海洋関連の人材育成を目的に設立されました。

船政学堂では、外国から招聘した教官によって造船や航海に関する専門知識が教授され、成績が優秀な卒業生はヨーロッパへ派遣されることもありました。この学校は中国海軍の発祥の地とされ、近代中国で初めての海軍及び航海に特化した教育機関であり、現在の軍事学院の礎とも言える存在です。卒業生の中には北洋艦隊の高級将官や各分野における知識人として活躍する者も多くいます。

歴史背景

1842年に発生したアヘン戦争は、中国の科学技術の未熟さを浮き彫りにしました。その影響を受けて、清朝内部では西洋の知識と技術を導入し、列強に対抗する必要性が次第に認識されるようになりました。この潮流は、1860年代に入ると同治年間の洋務運動を通じて具体化し始めました。

当時、閩浙総督として任じられていた左宗棠は、福州に船政局を設立し、艦船および砲器の製造を進めていました。その後、左宗棠が陝甘に異動した際に、沈葆楨が船政大臣に任命され、福建船政は馬尾で造船所と海軍関連施設の整備を進めました。この過程で、ヨーロッパから技術者を招き入れ、造船技術の向上を図ったのです。また、沈は海事海軍の人材育成の重要性にも着目し、1866年に求是堂芸局を開設し、造船と航海技術に関する教育に着手しました。初年度の入学試験が行われ、主席の厳復を含む60名以上の学生が入学し、翌1867年から福州城内の定光寺で講義を開始しました。

講義内容

1867年夏、求是堂芸局は馬尾へ移転し、同時に名称も船政学堂に変更されました。この学堂は前学堂と後学堂の二部門に分かれ、前学堂では造船および機械設計、後学堂では航海学と操縦技術が教授されました。講義は外国人の教授によって行われ、すべての授業は原語で行われました。造船においてはフランス語が使用され、科目には数学・物理・機械工学が含まれていました。一方、航海学では英語が用いられ、天文学や航海理論などが重点的に講義されました。また、必修科目として射撃や体操、中国語および歴史も設けられていました。教育課程は5年間であり、前学堂卒業生は造船所での実習を、後学堂の卒業生は訓練船での実習航海を行いました。優れた成績を収めた卒業生は、ドイツやイギリスの海軍学校へ派遣され、実践的な経験を積む機会も与えられました。

発展と影響

船政学堂は1866年の開校以来、1907年に福建船政が廃止されるまで存続し、総卒業生数は628名にのぼります。辛亥革命後には海軍製造学校として再興され、やがて海軍学校として発展を遂げました。この学堂は、授業内容において中国で最も近代的かつ西洋化された教育機関とも言え、船政学堂を基盤にした海軍関連学校が全国各地に設立されました。1885年には北洋艦隊が設立され、その人材の大半が船政学堂出身者でした。船政学堂出身者は中華民国成立後も、福建派と称される派閥を形成するなど、中国海軍において強い影響力を持ち続けました。

代表的な卒業生

船政学堂には多くの優れた卒業生が存在し、彼らの中には厳復、魏翰、詹天佑、劉歩蟾などが含まれています。彼らはそれぞれの分野で中国の発展に寄与しました。

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