薬丸兼成

薬丸兼成（やくまる かねしげ）

薬丸兼成は、戦国時代に島津氏の家臣として活躍した武将です。一般には「薬丸壱岐守」の名で知られています。薬丸氏は、伴姓肝付氏の庶流とされ、兼成は島津氏に仕官した当初、27石の知行を与えられました。

生涯

兼成の出自については、薬丸兼将（湖雲）の孫、兼持の子とする説が有力ですが、系譜には諸説あります。元々は肝付氏の家臣でしたが、主家が島津氏の傘下に入った際に、兼成も島津氏に仕えることとなりました。仕官当初は27石という少ない禄でしたが、その後の活躍で次第に加増されています。

兼成は、野太刀の達人として家中で名を馳せ、島津氏の重要な合戦に数多く参加しました。九州統一戦、朝鮮の役、庄内の乱、関ヶ原の戦いなど、数々の戦場で武功を立て、その勇猛ぶりは敵味方問わず知れ渡っていたとされています。

初陣であった高城合戦では、後に示現流の開祖となる東郷重位（当時は瀬戸口藤兵衛）の介添え役を務め、重位の活躍を支えました。この縁から、孫の薬丸兼陳は示現流を学ぶことになります。

朝鮮の役では、既に白髪の老人であったにも関わらず、その武勇を惜しまれて召集され、期待に応える活躍を見せました。

関ヶ原の戦いでは、島津軍が敵中突破を敢行した後、退却する際に伊賀上野城下を通過しました。その際、兼成は「島津兵庫まかり通る」と大声で名乗り、堂々と通過したという逸話が残っています。この逸話からも、兼成の並外れた胆力がうかがえます。

戦功により、兼成は度々加増され、晩年には約百石の知行を得るまでになりました。「薬丸家文書」によると、慶長6年には伊集院郷の福山村に16石1升7合、浮免地として4石1升7勺を加増されたと記録されています。

島津氏の多くの合戦記録に、薬丸壱岐守の名が記述されており、兼成が歴戦の武功者であったことがわかります。

兼成の死後、家督は子の兼利が継ぎました。墓所は鹿児島城下の浄土宗養泉山無量寺不断光院にあります。

薬丸兼成の武勇

薬丸兼成は、その武勇と豪胆さで知られ、多くの逸話が残っています。特に野太刀の達人としての評価が高く、その武術は後世にまで語り継がれています。島津氏の家臣として数々の合戦で活躍し、その武功は島津家の歴史に深く刻まれています。

関連

* 薬丸自顕流

薬丸兼成は、その武勇と勇猛さで、後世の武道にも影響を与えた人物として知られています。

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