薬丸兼将

薬丸兼将（やくまる かねまさ）

薬丸兼将は、生年不詳ながら戦国時代に活躍した武将であり、出雲守を称しました。諱は兼政とも伝わり、号は湖雲または孤雲と称しました。子に兼持がいます。

肝付氏の重臣として

薬丸兼将は、肝付兼続の時代から重臣として仕えたとされています。永禄4年（1561年）には、兼続の名代として島津氏の重臣・伊集院忠朗が開いた宴席に出席した際、鶴の羹を供されたことがきっかけで、肝付氏の家紋を侮辱されたと激怒したという逸話が残っています。ただし、この逸話は後世の創作であり、実際にはこの時点で島津家と肝付家の抗争は既に始まっていました。

島津氏との戦い

兼将は、兼続に従い島津氏と激しく戦い、一時は鹿児島城下まで攻め入るほどの勢いを見せました。また、永禄11年（1568年）には、肝付氏が海上警備中に土佐国の船を島津方と誤認して攻撃し、死者を出した問題について、長宗我部氏の重臣である江村備後に対し、謝罪と今後の対応に関する書面を送っています。この書面は「肝付家文書」に収録されており、当時の外交における兼将の役割を物語っています。

肝付氏内部の動乱と最期

兼続の死後、兼将は肝付良兼、そしてその後の肝付兼亮に仕えました。しかし、天正元年（1573年）に兼亮が母親である御南（島津忠良の娘）と対立すると、兼将は御南を支持し、兼亮追放に協力しました。翌年には、肝付氏が島津氏に服属するにあたり、肝付氏の使者として重要な役割を果たしました。天正4年（1576年）、伊東義祐との戦いで戦死したとされていますが、異説も存在します。

薬丸兼将の生涯は、戦国時代の動乱期における一武将の姿を鮮やかに描き出しています。肝付氏の重臣として、また外交官としての側面も持ち合わせていた彼の活躍は、後世に語り継がれています。

関連項目

* 薬丸氏

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