藤井寺 (吉野川市)

藤井寺（ふじいでら） - 一乗院金剛山

藤井寺は、四国遍路で知られる徳島県吉野川市鴨島町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。この寺院は金剛山と号され、四国八十八箇所の第十一番札所に位置しています。特筆すべきは、寺号の読みが「寺（てら）」であるのは藤井寺だけという点です。また、御朱印には「藤井禪寺」という正式名の印が押されます。

本尊と祈り

本尊は薬師如来で、その真言は「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」と唱えられています。建立に伴い、地域の信仰の対象としての役割を持ち、信者からは深い敬意を寄せられています。また、寺自体の特徴的な詩的な表現で知られるご詠歌は「色も香も無比中道の藤井寺　真如の波のたたぬ日もなし」となっており、藤井寺の神秘的な存在を表現しています。

歴史的背景

藤井寺の開創は弘仁6年（815年）に遡ります。この年、空海（弘法大師）がこの地で厄祓いと衆生の安寧を願い、薬師如来像を彫刻し、その像を安置する堂宇を建立しました。さらに、金剛不壊の護摩壇を構築し、7日間の修法を行ったとされています。ここから「藤井寺」という名が生まれたとも言われています。 しかし、後に1573年から1592年にかけて、長宗我部元親の攻撃により焼失しました。その後、1694年に臨済宗慈光寺の南山祖団禅師が再興し、再び寺としての役割が果たされることに。1832年には再度火災で本尊を残して焼失し、1860年に現在の伽藍が再建されました。

境内の構成

境内には、いくつかの重要な構成要素があります。まず、山門が入口となり、さらに進むと本堂があります。本堂内には前立本尊が安置され、地元の画家による雲龍の絵が美しく天井を装飾しています。また、大師堂では大師像を拝見することができます。その他、先祖供養や水子供養のための水掛地蔵や不動明王が祀られています。特に注目すべきは、八本の手を持つ白龍弁財天が祀られている白龍弁財天堂です。

参道を進むと、藤棚があって、その先に鐘楼があります。鐘楼の下では参拝者が鐘をつくことができ、静寂な境内の雰囲気を一層引き立てています。なお、藤井寺には宿坊がなく、駐車場は民間の有料駐車場が用意されています。

文化財としての重要性

藤井寺は木造釈迦如来坐像を重要文化財として有しており、この像は榧の一木から造られています。通常は公開されていない秘仏であり、その内部には1148年に制作されたことを示す墨書銘があります。個別に見ることはできませんが、貴重な文化資産として大切に保管されています。

アクセス方法

藤井寺へのアクセスは鉄道やバス、自動車と多岐にわたります。最寄り駅は鴨島駅（2.8 km）、西麻植駅（3.0 km）で、徳島バスの鴨島線「上下島」で下車すると2.1 kmとなります。自動車利用の場合は、徳島自動車道土成ICから約7.9 kmの場所に位置しています。

奥之院

奥之院には鎮守弁財天と大日如来の祠があり、蔵に隠れていた祠群や空海の修行の場でもある八畳岩が存在します。ここは藤井寺の信仰の中心でもあり、昔から信者に大切にされてきた場所です。奥之院の納経は藤井寺の納経所で行われており、そうした場所を求めて巡礼が続いています。

藤井寺はその歴史、信仰、文化財の面で一見の価値があり、多くの参拝者が訪れています。

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