藤原 兼房(ふじわら の かねふさ)
藤原兼房は、
平安時代中期から後期にかけて活躍した
貴族であり、
歌人でもあります。
藤原北家出身で、特に
中納言・
藤原兼隆の長男として知られています。彼は
官位としては
正四位下・讃岐守を持っており、さまざまな職務を歴任しました。
経歴
兼房は
長和4年(
1015年)に右近衛少将に任命されました。その後、一条朝に入ると、
寛仁2年(
1018年)正月に
従四位下に叙され、少将の地位を辞しましたが、その年の春には、
内裏で行われた宴会での衝動的な行動が問題となりました。
蔵人頭・藤原定頼を罵倒し、料理を蹴散らす行動や、逃げ込んだ控室に石を投げつけるという暴挙に出てしまいます。この行動により
謹慎処分を受け、しばらく参内を禁じられました。
同年秋には
藤原威子が
中宮に冊立され、兼房は
中宮権亮に任命されました。また、
従四位上に昇叙されました。治安元年(1022年)には
清涼殿で少納言・源経定との口論から取っ組み合いに発展し、兼房が経定を暴力で攻撃するという騒動を起こしました。この事件もまた、両者の親が涙を流してその場を去る結果となるなど、大きな衝撃を与えました。
さらに治安3年(
1023年)、兼房は右馬頭の職を併任しましたが、同年には
中宮の侍として宮内少輔・藤原明知に対する暴行事件を引き起こし、これにより
内裏からの追放となりました。彼はその後、後一条朝中期から後冷泉朝にかけて、丹後守や備中守などの地方官を経験しました。
長元2年(1029年)には
正四位下に叙されますが、その後40年もの間昇進はなく、最終的に端近の讃岐守で
正四位下に至り、
1069年に69歳で生涯を終えました。
人物
藤原兼房は
歌人としても名を知られ、特に『
後拾遺和歌集』に7首、その他の
勅撰和歌集にも14首が収められています。彼は
柿本人麻呂を強く崇拝しており、彼の姿を夢に見たことからその姿を描かせたと伝えられています。また、
歌人との交流も活発で、
能因や相模、出羽弁などの
歌人たちと親交があったことでも知られています。
家族と系譜
父は
中納言・
藤原兼隆、母は源扶義の娘であり、兼房には数人の子供がいました。特に男子の藤原兼仲は後に名を馳せました。その他、女子には左大臣家に仕えた者もおり、その血筋は現代にまでつながっています。
兼房の出自については多くの文献に記録があり、彼の子孫には
宇都宮氏の祖ともされる宗円などが含まれていますが、出自については諸説があります。
結論
藤原兼房の人生は、
平安時代の
貴族社会における複雑な人間関係と権力 struggles の一端を示しており、彼の歌才とあいまって、文学史でも重要な位置を占めています。彼のエピソードは、当時の文化と社会の一端を反映したものであり、今日においても多くの研究対象となっています。