藤原実範

藤原 実範（ふじわら の さねのり）

藤原実範は、平安時代中期に活躍した廷臣であり、漢詩人です。彼は貴族的な家柄であり、藤原南家の貞嗣流に属し、従三位の藤原永頼の孫として生まれました。父は左兵衛佐の藤原能通であり、彼の経歴はそのまま貴族の伝統を引き継いだものでした。実範は官位として従四位上を称し、文章博士という肩書を持っていました。

経歴

実範は文章博士の藤原義忠に学び、治安3年（1023年）に文章得業生として世に出ました。その後、一条朝の時代に蔵人所の雑色を務めたのち、六位蔵人に昇進します。さらに左兵衛佐や備後守を歴任し、後には後冷泉朝において文章博士や大学頭としても名を馳せました。その傍ら、伊予権介、讃岐介、駿河守といった複数の職位を兼任しました。彼の官位は従四位上まで上昇し、康平5年（1062年）には病により職を退くことになります。

実範は生涯を通じて紀伝道に精通し、その知識は当代屈指の権威となりました。彼の漢詩は『本朝無題詩』や『本朝続文粋』といった詩集に収められており、その作品は今でも高く評価されています。

官歴

実範の官歴を詳しく見てみると、次のようになります:

• - 治安3年（1023年）日付不詳：文章得業生
• - 長元元年（1028年）2月23日：六位蔵人
• - 長久元年（1040年）4月7日：左兵衛佐、淡路前司
• - 永承2年（1047年）2月7日：備後守
• - 康平元年（1058年）8月28日：兼伊予権介
• - 康平2年（1059年）日付不詳：止伊予権介（秩満）
• - 康平4年（1061年）正月：兼讃岐介
• - 康平5年（1062年）10月：見大学頭文章博士
• - 治暦2年（1066年）12月27日：見駿河前々司

個々の職位において、実範は文官としての役割を果たしつつ、官職の中での経験を積んでいきました。

系譜

実範の家族についても興味深い側面があります。父は藤原能通、母は藤原元尹の娘で、藤原南家巨勢麻呂流からの血を引いています。彼の妻は小野資通の娘で、彼との間には男子たちが生まれました。これには藤原成季、藤原季重、藤原季兼が含まれ、季兼は1044年から1101年まで生存し、彼の子孫は熱田神宮の大宮司職を世襲する家柄になりました。実範にはさらに、他の妻からも子どもが生まれ、男子として藤原行綱、興義、実慶が挙げられます。また、養子には藤原業仲がいますが、実は高階業敏の子であり、複雑な家系図が広がっています。

実範の子たちも、父と同様に文章道に従事して評価を受けました。その結果、実範は後世において南家の家学の祖として崇敬される存在となり、彼の家系からは多くの文章博士が輩出されています。特に三男の季兼の子孫は歴史の中で重要な役割を果たし、今なおその伝統は続いています。

まとめ

このように、藤原実範はただの廷臣ではなく、平安時代の文化を支えた重要な人物であることが分かります。彼の詩作や教育理念は、南家の発展に大きく寄与し、時代を超えた影響を与え続けています。

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