藤原資業

藤原資業：華麗なる経歴と波乱の生涯

藤原資業は、平安時代の中期から後期にかけて活躍した公卿です。藤原北家真夏流（日野家）の出身で、参議・藤原有国の七男にあたります。16歳で文章得業生となり、その後、対策に及第するなど、若くして優れた才能を示しました。最終官位は従三位・式部大輔にまで上り詰め、文人官僚として名を馳せました。

出世の階段を駆け上がる

資業の経歴は華々しいものだったと言えるでしょう。式部少丞、式部大丞、六位蔵人といった官職を歴任した後、筑後権守に任ぜられます。その後も、刑部少輔、大内記といった要職を経験し、右少弁に昇進。三条天皇の即位と同時に、敦成親王（後の後一条天皇）の東宮学士を兼任するなど、その地位は盤石なものとなりました。さらに、五位蔵人、検非違使佐を兼任するなど要職を歴任し、三事兼帯という栄誉にも輝きました。春日社行幸行事では、当初は藤原定頼が務める予定でしたが、何らかの闘乱があったため、資業が代わりにその任につきました。これは、資業の政治力や影響力を示すエピソードと言えるでしょう。

三条天皇から後一条天皇への譲位後、資業は三条院の院司判官代に任ぜられ、五位蔵人を兼任しました。その後、正五位下、文章博士となり、左少弁を経て、丹波守に任ぜられます。丹波守在任中は、邸宅が放火されるという事件にも遭遇しています。夜中に騎兵十数名が襲来し、邸宅に放火。家人が抵抗を試みましたが、多勢に無勢、邸宅は全焼しました。この事件の詳細は不明な点が多く、資業の政治的敵対者によるものだったのか、あるいは単なる盗賊の犯行だったのか、現在でも謎に包まれています。

地方官への転出と公卿への昇進

丹波守を退任した後も、資業の官職への道は続きます。式部大輔を務めながら、播磨守、伊予守といった地方官を歴任。地方行政にも携わった経験は、資業の政治家としての幅を広げる上で貴重な経験となったことでしょう。そして、寛徳2年（1045年）、ついに従三位に叙せられ、公卿の地位に昇りつめました。これは、資業の長い官歴における最高位であり、その輝かしいキャリアの到達点と言えるでしょう。

出家と最期

永承6年（1051年）、資業は出家し、法名「素舜」と名乗りました。日野山庄に隠居し、静かな晩年を送ったと伝えられています。延久2年（1070年）、83歳でこの世を去りました。日野法界寺薬師堂を建立したという記録も残っており、晩年においても信仰に深く関わっていたことがうかがえます。

まとめ

藤原資業は、若くして頭角を現し、数々の要職を歴任した優れた人物でした。華々しい出世の道とは裏腹に、邸宅放火事件や出家といった波乱の人生を送ったこともまた事実です。彼の生涯は、平安時代の政治や社会を知る上で貴重な資料となります。謎の多い部分も多いですが、その生涯から、平安時代の権力構造や官僚社会の一端を垣間見ることができるでしょう。今後の研究によって、彼の生涯がより詳細に明らかになることを期待したいところです。

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