藤原通

藤原 通

藤原 通（ふじわら とおる）氏は、1979年6月18日に兵庫県高砂市で生まれた元プロ野球選手です。現役時代は阪神タイガースに所属し、登録上のポジションは内野手でしたが、外野手としても多くの試合に出場しました。

アマチュア時代の活躍

神港学園高校時代は主に一塁手としてプレーし、2年生の夏には甲子園の土を踏みました。3年次の夏は、兵庫県大会で惜しくも準優勝に終わっています。

高校卒業後は立命館大学へ進学。大学野球部では、2年時の大学選手権準々決勝で早稲田大学の藤井秀悟投手（当時）に苦しめられましたが、9回二死から葛城育郎選手（当時）の二塁打を口火に同点打を放つなど、粘り強い打撃を見せました（試合は延長戦で敗退）。3年生からはチームの4番打者として中心的な役割を担い、4年時には主将を務め、チームを2年連続の大学選手権ベスト4に導きました。関西学生野球リーグにおいては、通算77試合に出場し、269打数92安打、打率.342、8本塁打、62打点、9盗塁という優れた成績を残し、ベストナインには3度選出されるなど、大学球界を代表する強打者として知られました。

プロ入りとタイガースでの日々

長打力を期待される打者として、2001年のプロ野球ドラフト会議で阪神タイガースから6巡目で指名を受け入団しました。プロ入り後、大学時代まで主として守っていた一塁に加え、三塁や外野にも挑戦。練習を重ね、内野手としても外野手としても対応できるユーティリティプレーヤーへと成長を遂げました。

プロ入り後の藤原氏は、二軍（ファーム）においては早期からその実力を発揮しました。プロ1年目の2002年にはファーム日本選手権で3安打4打点の活躍を見せ、最優秀選手（MVP）に選ばれています。しかし、当時の阪神タイガースは一軍の戦力が非常に厚く、層の厚い選手層に阻まれ、藤原氏が一軍での出場機会を得ることは容易ではありませんでした。

二軍でのプレーにおいては、いくつかの印象的なエピソードがあります。2003年7月21日に行われたウエスタン・リーグの対大阪近鉄バファローズ戦（藤井寺球場）では、満塁の好機に打席が回ってきました。放たれた打球はバックスクリーンを直撃する特大のものでしたが、この試合には二塁塁審がおらず、残りの審判員（球審と一・三塁の塁審）が通常の4人制の動きをしていたため、どの審判も打球がバックスクリーンに当たったことを確認できませんでした。結局、二軍監督であった木戸克彦氏の抗議も受け入れられず、二塁打と判定されてしまい、「幻の満塁本塁打」として語り草になっています。

また、2006年のファーム日本選手権では、千葉ロッテマリーンズの先発投手であった成瀬善久氏（当時）から、チームメイトの喜田剛氏、桜井広大氏と共に3者連続本塁打の一角を放つなど、ファームでは傑出した打撃を見せました。この年のオフには結婚を発表しています。

一軍での奮闘と引退

プロ入り後、長らく一軍での定着に苦労していましたが、2007年シーズンに転機が訪れます。春季オープン戦でアピールに成功し、一軍開幕メンバー候補に名前が挙がりましたが、開幕は二軍スタートとなりました。しかし、ファームで4割を超える打率を維持するなど好調を維持し、シーズン中に一軍へ昇格。5月には実に5年ぶりとなる一軍での安打を記録しました。その後は、代打や代走、さらには外野手や一塁手の守備固めとしても起用されるようになり、一軍に定着。外野手として21試合、一塁手として4試合、二塁手1試合、三塁手2試合と、多様な守備位置をこなすユーティリティプレーヤーとしてチームに貢献しました。スタメンとしても中堅手で4試合、一塁手で1試合に起用されるなど、貴重な戦力となりました。

しかし、2008年は再び一軍出場がなく、2009年には右腕の故障にも悩まされることとなりました。プロの選手として満足できるレベルのプレーを継続することが困難になったと自ら判断し、2009年10月2日に現役引退を表明しました。

引退後のキャリア

現役引退後、藤原氏は阪神タイガースの球団職員となりました。野球の現場を離れることなく、チームを支える立場へと転身。当初は二軍の用具担当兼サブマネジャーとして裏方業務に携わりました。その後、一軍のサブマネジャーを経て、2014年からは一軍のマネージャーに昇格し、チーム運営を支える重要な役割を担っています。

プロでの記録と表彰

表彰
ファーム日本選手権MVP：1回（2002年）
主な初記録
初出場・初先発出場：2002年8月11日 対中日ドラゴンズ20回戦（ナゴヤドーム）、7番・左翼手で先発出場
初打席：同上、3回表に山本昌投手から三塁ゴロ
初安打：同上、8回表に山本昌投手から左前安打
初打点：2007年6月20日 対東北楽天ゴールデンイーグルス4回戦（阪神甲子園球場）、8回裏に戸部浩投手から押し出し死球
初盗塁：2007年8月4日 対広島東洋カープ13回戦（広島市民球場）、8回表に二盗（投手：佐竹健太、捕手：石原慶幸）

背番号

2 （2002年 - 2004年）
44 （2005年 - 2009年）

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