藤原邦綱

藤原 邦綱 (ふじわら の くにつな)



藤原邦綱は平安時代後期に活躍した公卿で、特に権大納言まで昇進したことで知られています。彼は右馬権助・藤原盛国の子として生まれ、藤原北家良門流の下級官人としてキャリアをスタートさせました。邦綱はその才覚を生かし、文章生を経て蔵人となり、藤原忠通家司を通じて頭角を現します。彼は和泉、越後、伊予、播磨の受領を歴任し、そこで資金を蓄えると同時に昇進を果たしました。特に永万元年(1165年)には、破格である蔵人頭に任命され、その名声を高めました。

邦綱はその経歴の中で、四人の娘を六条天皇、高倉天皇、安徳天皇といった著名な皇族および平徳子乳母として仕えさせ、豊かな財力をもって彼女たちの養育に力を注ぎました。平家との密接な関係を築きながら、白河殿盛子の後見を務めますが、仁安元年(1166年)に基実が死去すると、多くの摂関家領を盛子に相続させました。この決定に関しては、基実の弟である九条兼実から激しい非難を受けました。

邦綱自身は権大納言にまで昇進しましたが、彼の家系から公卿に迎えられたのは、平安時代前期の藤原兼輔以来であることから、その意義が強調されます。また、彼の所有する第宅は多数あり、特に土御門東洞院第は後白河院の御所として、さらに六条・高倉両天皇の里内裏として機能していました。彼は高倉上皇の非常に近い側近として、厳島御幸や福原行幸に供奉し、高倉上皇の崩御に際しても特別な恩遇を受けた数少ない公卿の一人でした。

邦綱は、彼が生きた時期において多大な影響力を持つ存在でしたが、後に清盛が没すると、その影響力も次第に薄れていきました。最終的に治承5年(1181年)閏2月23日に彼は亡くなります。彼の訃報を受けて兼実は、邦綱の真摯な人柄を称賛し、卑賤な出身であったにもかかわらず広い心を持っていたとして周囲から惜しまれる存在であったことを伝えています。

彼の官歴は非常に豊富で、以下にその主な経歴を挙げます。長承4年(1135年)に文章生として昇進した後、様々な官職を歴任し、最終的には治承5年(1181年)に権大納言を辞任するまで、多くの役職に就いています。

彼の家族についても述べると、父である藤原盛国の他、妻には増仁の女があり、子息には藤原重邦や藤原清邦(平清盛の養子)、および藤原基行がいます。娘たちも六条天皇や高倉天皇など重要な役割を果たすこととなりました。特に、藤原成子、邦子、輔子はそれぞれ皇族の乳母として仕えるなど、その家系は公家社会においても重要な位置を占めていました。

邦綱の存在は、平安時代の公家社会において特異なものであり、彼の影響力は財力と人間関係に裏付けられたものでした。

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