藤堂高聴

藤堂高聴（とうどう たかより）について

藤堂高聴は、伊勢久居藩の15代藩主であり、久居陣屋を本拠とする藤堂家の家督を継ぎました。彼は文化7年（1810年）11月23日に誕生し、父は第13代藩主・藤堂高邁です。高聴は五男として生まれましたが、文政元年（1818年）に父が隠居した際は幼少であったため、叔父の藤堂高秭が藩主を継承しました。

高聴はその後、養子として高秭のもとで育てられ、文政10年12月（1828年）に従五位下・主水正に叙任を受けました。天保3年（1832年）には高秭が隠居して家督を引き継ぎ、その後佐渡守に遷任しました。

藩政への影響

天保7年（1836年）には悪天候が原因で凶作が発生し、藩の財政は厳しい状況に見舞われました。このような中で高聴は倹約や諸費用の節減に努め、さらに天保14年（1843年）には吉武五郎大夫の指導により荒地の開墾を行って藩の基盤を強化しました。弘化元年（1844年）には南部地域での開墾事業を進め、雲出川沿いの堤防整備も行いました。これらのプロジェクトには武士や町民、農民など多くの人々が参加し、次第に豊かな田畑が広がっていきました。

しかし、弘化4年（1847年）7月に久居城が全焼するなど、困難な出来事が続きました。その後も安政元年（1854年）の大地震や万延元年（1860年）の物価高騰が続き、財政状況が好転することはありませんでした。嘉永4年（1851年）には文武を奨励し、また安政3年（1856年）には外国の脅威に備えた壮士組を編成し、オランダ式の軍備拡張を図るなど、藩の発展に向けた努力を続けました。

生涯と後継

文久3年（1863年）、高聴は本家の津藩の代理として第14代将軍・徳川家茂に従い上京しましたが、健康を害し、8月9日に久居で亡くなりました。享年は54歳でした。『久居市史』によれば、高聴には次男・藤堂高行が存在し、彼が跡を継ぐ予定でしたが、高聴の死後に高行も同じく亡くなったため、養子の藤堂高邦が家督を受け継ぐ結果となりました。

藤堂高聴の系譜

高聴の家族についても触れておきましょう。彼の父は藤堂高邁、養父は藤堂高秭です。正室は山内豊策の五女であり、子女には以下のような名前が挙げられます。
1. 藤堂高茂
2. 藤堂高行（次男）
3. 藤堂高義
4. 増銘子（佐竹義堯の妻）
5. 所刀禰
6. 兎万子
7. 錦子
8. 花都子
9. 澤子（藤堂高邦の正室）
10. 石子

また、養子として藤堂高邦を迎え入れました。彼は藤堂長徳の次男です。高聴の生涯は、幕末の動乱の中で藩の運営や社会の発展に寄与するものであり、その努力は多くの領民に恩恵をもたらしました。

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