藤屋 (長野市)
株式会社藤屋：歴史と革新が織りなす、特別な空間
株式会社藤屋は、長野県長野市に本社を構え、レストランとブライダル事業を展開する企業です。その歴史は、江戸時代に善光寺宿の本陣として栄えた「御本陳藤屋旅館」に遡ります。現在では、「THE FUJIYA GOHONJIN」という名称で、レストラン・結婚式場としてその名を馳せています。
善光寺宿の歴史を今に伝える
御本陳藤屋旅館の誕生
かつて、善光寺門前の大門町には、多くの旅籠が軒を連ねていました。その中で、藤屋は本陣として、加賀藩前田家の参勤交代時の定宿となるなど、特別な存在でした。当時から、藤屋は他の宿と一線を画し、町の格式を保つために、客引きを禁止するなど、独自のルールを設けていました。この姿勢は、現在の「THE FUJIYA GOHONJIN」にも受け継がれています。
明治時代の洋風建築への転換
明治時代に入ると、藤屋は1892年に、欧風要素を取り入れた木造三層楼の建物「對旭館」に建て替えられました。また、信越本線の開通に伴い、長野駅や吉田駅前に支店を出すなど、時代の変化に対応しながら、旅人の憩いの場としての役割を果たしました。
アール・デコ様式への改築と文化財登録
大正時代の市区改正と洋風建築の導入
大正時代になると、長野市の市区改正事業に伴い、藤屋が面する中央通り（善光寺表参道）が拡幅されました。これに合わせて、1925年に藤屋も洋風建築に改築されました。この建物は、外観は鉄筋コンクリートにタイルを貼ったアール・デコ調、内部は木造数寄屋造という、和洋折衷の美しい建築様式が特徴です。
文化財としての価値
1997年には、この建物が長野市で初めて国の登録有形文化財に登録されました。現在も、レストランやウェディング会場として利用されており、その意匠は、大門町のランドマークとして親しまれています。外観バルコニーの鉄製の手摺りは、山麓アトリエの盛清千惠子が手がけています。
「不易流行」：旅館業からレストラン・ウェディングへ
業態転換の決断
長年、長野を代表する旅館として名を馳せてきた藤屋も、1998年の長野オリンピック後、時代の変化に対応する必要に迫られました。宿泊施設の供給過剰や、新幹線・高速道路の開通による日帰り客の増加は、藤屋にとって大きな打撃となりました。そこで、17代目当主の藤井大史郎氏は、旅館業の休業と、レストラン・ウェディングへの業態転換を決断しました。この決断には、周囲の反対もありましたが、2年かけて説得し、2006年に「THE FUJIYA GOHONJIN」として新たなスタートを切りました。
古き良きものを残し、新しいサービスを提供する
藤屋の理念である「不易流行」に基づき、古くからの建物や庭園を極力残し、地元客の利用を増やし、若い従業員を採用するなど、新たなサービスの提供に力を入れています。また、2012年には、旧五明館を改装し、パティスリー&カフェ「平五郎」をオープン。将来の旅館業再開を見据え、アメニティやスイーツのショップとしての展開を考えています。
店舗情報
THE FUJIYA GOHONJIN
パティスリー 平五郎 本店
- - 住所：長野県長野市大門町515
- - アクセス：JR長野駅からバス「善光寺大門」下車すぐ
- - 営業時間：平日11:00-18:00、土曜日10:00-18:00、日祝11:00-17:00
- - 定休日：火曜日（祝日の場合は営業）
平五郎 MIDORI 長野店
門前洋食 藤屋
KOMORO HONJIN OMOYA
善光寺七福神と御本陣藤屋
御本陣藤屋には、善光寺七福神の一つである布袋尊が祀られています。これは、戦艦大和最後の艦長、有賀幸作の生家に伝わる貴重なものです。善光寺七福神の中で、唯一寺社ではない場所に祀られているのが特徴です。
外部リンク
株式会社藤屋は、歴史と伝統を守りながら、常に新しい挑戦を続けています。その美しい建物と、上質なサービスは、訪れる人々に特別な感動を与えています。
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