藤本幸太郎

藤本幸太郎

藤本幸太郎（ふじもと こうたろう、1880年7月4日 - 1967年6月1日）は、日本の商学者、経済学者であり、特に海上保険論と統計学の分野で多大な貢献をしました。一橋大学名誉教授であり、日本統計学会会長、東京海上火災保険監査役などを歴任し、日本の保険学における最高権威と評されました。また、日本初の商学博士としても知られています。

生涯

福井県丹生郡に生まれ、三重県四日市市で育ちました。小学校時代から優秀で、三重県初の商業学校である四日市商業学校を第1期生として卒業後、同校で教鞭を執りました。その後も母校に貢献し、創立90周年記念には胸像が正面玄関に設置されました。

1905年に東京高等商業学校（現一橋大学）専攻部を卒業後、同校の講師に就任しました。1909年からは教授となり、1910年から3年間、ドイツとイギリスに留学し、商学と統計学の研究に励みました。帰国後の1919年には高千穂高等商業学校（現高千穂大学）の講師も務め、1920年からは改組された旧制東京商科大学（現一橋大学）の教授として教鞭を執りました。同年には論文『委付ノ性質並ニ其効果ヲ論ズ』で、日本初の商学博士号を同大学から授与されました。

1922年からは東京高等商船学校（現東京海洋大学）の講師も兼務。1927年には文部省督学官も兼務しました。1934年に勲二等瑞宝章を受章し、東京商科大学附属商業教員養成所主事に就任。1938年には同大学附属商学専門部主事となりました。1941年に東京商科大学を退官し、名誉教授の称号を受け、正三位に叙せられました。退官後も、1946年から1962年まで東京商科大学海務学院の講師を務め、中央統計委員会委員、損害保険国営再保険審査委員、教科用図画調査委員などの要職を歴任しました。

1947年から1959年までは明治大学教授を務め、1949年から1953年まで東京海上火災保険監査役を務めました。1951年には一橋大学名誉教授の称号を受けました。1963年に藍綬褒章、1964年には旭日重光章を受章しています。仏教徒であり、駒澤大学大学院商学研究科の設立にも尽力し、1966年からは同大学院の専任統計学教授として教鞭を執りました。しかし、1967年に療養中のところ、中野区で86歳で死去しました。

研究

専門は保険学と統計学であり、特に海上保険論では、師である村瀬春雄から受け継いだ研究を発展させ、各国の制度を比較研究し、当時の日本の第一人者となりました。また、統計学においては、留学中に急遽担当となったにも関わらず、顕著な業績を上げ、1949年から1952年まで日本統計学会の第2代会長を務めました。

指導した主な学生

森田優三（一橋大学名誉教授、元内閣統計局長、日本統計学会第8代会長）
大林良一（一橋大学名誉教授、元日本保険学会理事長）

著書

『委付ノ性質並ニ其効果ヲ論ズ』弘道館 1922年
『経済統計学』秀広社 1923年
『海上保険研究』秀広社 1923年
『海上保険綱要』清水書店 1924年
『共同海損論』高野書店 1925年
『共同海損綱要』清水書店 1925年
『経済統計』清水書店 1925年
『藤本保険論叢』清水書店 1927年
『海上保険論』千倉書房 1930年
『商業統計の常識』千倉書房 1931年
『商学全集』千倉書房 1937年
『商業特殊研究叢書』大同書院 1938年
『統計学』千倉書房 1939年
『経営学大系』 千倉書房 1939年
『海上保険の常識』千倉書房 1941年
『海上保険』千倉書房 1943年
『藤本先生論文集 : 喜寿記念』同文館 1956年
『最新商業経済』中等教育研究会 1956年
『商事』一橋出版 1966年
『最新商業一般』一橋出版 1968年

外部リンク

* 藤本幸太郎著 『委付ノ性質並ニ其効果ヲ論ズ』（国立国会図書館デジタルコレクション）

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