藤田浩一

藤田浩一：時代を彩った音楽プロデューサー

藤田浩一（ふじた こういち、1947年3月20日 - 2009年10月11日）は、日本の音楽シーンにおいて重要な役割を果たした人物です。彼はギタリスト、作詞家、作曲家としての才能に加え、音楽プロデューサー、そして実業家としてもその手腕を発揮しました。トライアングル・プロダクション、バミューダ音楽出版という二つの会社を率い、数多くのアーティストを世に送り出しました。

グループサウンズからプロデューサーへ

1967年、藤田はグループ・サウンズのバンド「アウト・キャスト」にリズム・ギターとして参加し、音楽家としてのキャリアをスタートさせました。作詞・作曲も手掛け、1969年には自ら「The Love」を結成し、リード・ギターを担当しました。The Love解散後は、音楽制作、プロモーター、マネージメントなど、プロデューサーとしての基礎を築く活動に注力しました。かまやつひろしのマネージメントや、ベイシティローラーズのコンサートフィルムを買い付け、日本全国の映画館で上映するなど、幅広い活動を展開しました。

トライアングル・サウンドの確立

1975年、藤田は音楽事務所「トライアングル・プロダクション」を設立。1977年には、かまやつひろしの紹介でレイジーのプロデュースを手掛け、本格的にプロデューサーとしての道を歩み始めます。1979年には、角松敏生のデモテープを聴き、その才能に惚れ込んでスカウト。角松は1981年に「YOKOHAMA Twilight Time」でデビューを果たしました。同年には「バミューダ音楽出版」も設立し、音楽ビジネスを拡大していきます。

1980年代に入ると、藤田のプロデュースは黄金期を迎えます。レイジーのキーボーディスト・井上俊次とコーラスグループ「トロワ」によるユニット「ビッグバン」や、杉山清貴&オメガトライブ、菊池桃子など、次々とヒットアーティストを輩出。「トライアングル・サウンド」として、その名を知らしめました。

藤田浩一を彩るエピソード

音楽プロデューサー時代、レコーディング後の深夜に藤田が音源を持ってドライブに出かける「藤田タイム」は、業界内では有名な話です。また、レイジーの井上俊次は、藤田との確執を明かしています。藤田がロック嫌いだったため、レイジーがベイ・シティ・ローラーズのような路線になったというエピソードは、彼の音楽に対する独自の考え方を象徴しています。

一方、角松敏生は、藤田について「お人柄や人生は怒涛そのもので、その生き様やビジネス手法には世間的には賛否両論あるというような話も聞く」と語りつつも、かつて藤田から「お前頑張っているよな。角松みたいな音楽をやる奴が生き残ってくれているのは嬉しいよ」と電話をもらったエピソードを明かし、感謝の念を述べています。

晩年と遺産

1995年以降、藤田はプロデュース業を休止し、社長業に専念。2009年10月11日、自宅で逝去しました。62歳でした。彼の死後、「藤田浩一さんを偲ぶ会」が開催され、多くの関係者やファンが参列し、その功績を偲びました。参列者には、藤田がプロデュースした楽曲を収録した非売品のCDが配布されました。

藤田浩一がプロデュースした主なアーティストは以下の通りです。

レイジー
角松敏生
ビッグバン
杉山清貴&オメガトライブ
菊池桃子
1986オメガトライブ
* カルロス・トシキ&オメガトライブ

藤田浩一は、日本の音楽史にその名を刻む、偉大な音楽プロデューサーでした。

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