蘇合香 (雅楽)

蘇合香の魅力とその歴史

蘇合香（そこうこう）、あるいは通常称される蘇合（そこう）は、雅楽の中でも特に重要な位置を占める曲の一つです。この楽曲は、「盤渉調」という調子で演奏され、唐楽に分類される名曲であり、また四箇之大曲（しかのたいきょく）の一つとしても知られています。

歴史的背景

蘇合香の成り立ちには、古代インドの阿育王（アショーカ王）の伝説が深く関わっています。彼が病に倒れていた際、蘇合草により奇跡的に回復したというエピソードが伝承されており、この回復を祝うために楽が作られたとされています。儀式の中では、「育偈」という名の人物が蘇合草を冠にして舞を舞ったと言われています。日本にこの楽曲が伝えられたのは、桓武天皇の時代で、遣唐使の和邇部嶋継（わにべのしまつぐ）が媒介したとされています。

舞楽の構成

蘇合香の舞楽は、その構成が緻密であり、特に「序破急」（じょはきゅう）の形式が完備されています。この楽曲の各セクションは次の通りです。

• - 盤渉調調子
• - 道行
• - 序一帖
• - （序二帖）
• - 序三帖
• - 序四帖
• - 序五帖
• - 破
• - （颯踏）
• - 急
• - 重吹

中でも、序三帖、破、急といった楽章は、管絃楽器によっても演奏可能です。特に「急」の部分には、黄鐘調で演奏される渡物も存在しています。カッコ内に示された箇所は廃絶してしまい、現在では演奏することはできません。舞楽には通常、6人か4人が参加し、特別な襲装束をまとい、諸肩袒や別甲を着用します。

演奏時間とその重要性

雅楽の中でも特に演奏時間が長いことで知られている蘇合香は、全楽章を通して演奏されると約3時間に及びます。近年においては、2011年2月26日に国立劇場で前篇（序五帖まで）が演奏され、翌年の2012年2月25日には後篇（破以降）が再び演奏されました。これは、明治時代以降の150年にわたり、全曲一具として演奏された例がほとんどなかったことを考えると、重要な出来事と言えるでしょう。さらに廃絶曲の復曲も検討される場合には、盤渉参軍が全曲演奏されるとほぼ5時間近くに及ぶこともあるとのことです。

おわりに

蘇合香は、その豊かな歴史背景と独特な演奏スタイルによって、日本の雅楽の中でも特に特異な存在です。この古代の楽曲を通し、私たちは文化の伝承や歴史を感じ取ることができるのです。現代においても、その魅力は色褪せることなく、雅楽の枠を超えた多くの人々に愛されています。

もう一度検索