虹の彼方から

リプレイ作品『虹の彼方から』の解説

『虹の彼方から』は、テーブルトークRPG（TRPG）『アルシャード』のリプレイ作品であり、三輪清宗が執筆、安達洋介がイラストを担当しています。この作品は、2007年12月から2008年4月にかけて、雑誌『ゲーマーズ・フィールド』の12th SEASONで連載され、2010年にエンターブレインから発行された合本に収められました。

作品の背景

このリプレイは、2007年8月にリリースされた『アルシャードガイアRPG』のサプリメント『グレートディメンジョン』を基にしたものであり、異世界での冒険を描いています。『グレートディメンジョン』は、ルール第一版時代の『ティル・ナ・ノグ』を踏襲しつつ、様々なTRPGをつなぐアダプタとしての役割も果たしています。このサプリメントには、SRS準拠の4作品間でのルールの導入データが掲載されており、『アルシャードff』や『天羅WAR』などが対象となっています。今回のリプレイでは『アルシャードガイアRPG』に基づいたキャラクターメイクが行われ、その内容が描かれています。

あらすじとテーマ

物語は、真帝国士官オズワルド・シラーが提唱したミッドガルド再建計画から始まります。この計画は、異世界に侵攻し、「虹の秘宝」と呼ばれるマジックアイテムを用いて、ミッドガルド大陸を浄化するという壮大なもので、一旦成功すれば真帝国の大陸西部への進撃が可能になります。しかし、シラーの副官であるミハエル・ベルグフントは、その計画に疑念を抱いています。そんな中、重要なマジックアイテムである「虹の秘宝」が盗賊団に奪われるというトラブルが発生し、シラー率いる真帝国軍は異世界ブルースフィアへと進撃します。この異世界では、技術が進化しながらも無垢な大気と大地が保たれています。

物語の核心は、計画の実行とその結果に対する葛藤です。さまざまなキャラクターたちがそれぞれの思いや背景を持ち、私欲や使命感の間で揺れ動く姿が丁寧に描かれています。特に、真帝国の侵略と、それに対抗する者たちの姿勢が物語のテーマとして浮き彫りになります。

登場キャラクター

本作の魅力の一つは、個性的なキャラクターたちです。以下に主要キャラクターを紹介します。

• - 宮沢茉莉: ファイターとソードマスターの二つのクラスを持つ女子高生。彼女は「蒼の守護者」として、キッドを助ける役割を果たします。
• - ミハエル・ベルグフント: 真帝国の内部監察機関のエージェントとして潜入を試みるキャラクター。彼は強い正義感に囚われ、計画の真実との葛藤を抱えます。
• - ジャンガリアン・キッド: 異世界での盗賊行為を中心に展開する彼は、特異な外見とバックStoryを持ち、その行動が物語に大きな影響を与えます。
• - 東喜多: ブラックマジシャンとして活躍する茉莉の曾祖母。一度は地獄で静かに過ごしていたが、計画の展開に伴い再び表舞台へ戻る。

これらのキャラクターは、それぞれが独立した目的と背景を持ち、互いに複雑に絡み合った関係性が物語をより深くしています。

用語解説

作品内に登場する用語も、その世界観を豊かにしています。「虹の秘宝」は物語の中心的テーマの一つであり、地獄での管理を経てシラーの手に渡ります。また「次元偏向機」は異世界転送の技術を象徴するもので、シラーの計画において重要な役割を果たします。

『虹の彼方から』は、サプリメントの利用法を示しつつ、さまざまなキャラクターたちのドラマが展開される、魅力的なTRPGリプレイ作品です。その深いテーマ性とキャラクターの葛藤は、プレイヤーや読者に深い印象を残します。

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