蜂須賀宗英

蜂須賀宗英：阿波徳島藩最後の男系藩主

蜂須賀宗英（はちすか むねてる）は、江戸時代中期の阿波徳島藩の第7代藩主です。その生涯は、藩主就任までの隠居生活と、短期間の藩主としての活動、そして彼以降の蜂須賀家の変遷という、いくつかの興味深い側面を持っています。

生涯：隠居から藩主へ

宗英は、第2代藩主・蜂須賀忠英の五男である蜂須賀隆喜の三男として生まれました。幼名は勘次郎、初名は隆泰と名乗りました。若くして隠居し、京都に住むなど藩政には直接関わらず、中老や家老として藩政に参画していました。しかし、享保20年（1735年）に第6代藩主・蜂須賀宗員が亡くなると、末期養子として迎えられ、52歳という当時としては高齢で第7代藩主となりました。

藩主就任後、宗英は将軍・徳川吉宗に御目見えし、従四位下・阿波守に叙任されました。同時に、吉宗から偏諱を受け、宗英と改名しました（「英」の字は祖父・忠英から取られています）。しかし、藩主としての期間は長くはなく、元文4年（1739年）には養子の宗鎮に家督を譲り、再び隠居生活に入りました。隠居後は潜外と号し、寛保3年（1743年）に江戸で亡くなりました。

清浄華院との縁

宗英の墓は、京都の清浄華院にあります。これは、歴代徳島藩主の中で唯一、徳島県外に墓所がある例です。この背景には、宗英の娘・友姫の存在があります。友姫は公家の東園基楨に嫁ぎましたが、東園家は清浄華院の檀家でした。友姫自身も清浄華院に葬られており、その縁から宗英も同院に埋葬されたのです。また、宗英自身も藩主になる以前に京都に住んでいたことがあり、清浄華院は彼にとって馴染みのある場所でした。

宗英の墓参りのため、以降の歴代藩主は京都を訪れるようになり、清浄華院は蜂須賀家にとって特別な場所となりました。2011年には、清浄華院の境内に徳島藩主ゆかりの蜂須賀桜が植樹され、その繋がりは現代にも引き継がれています。

最後の男系藩主

宗英の後、蜂須賀宗家は他家からの養子が続くことになりました。そのため、宗英は正勝・家政・至鎮という蜂須賀家の血を引く、男系子孫としては最後の藩主となりました。その意味で、宗英の存在は蜂須賀家の歴史において、一つの区切りを示すものと言えるでしょう。

系譜

父：蜂須賀隆喜（1643年 - 1698年）
母：不詳
養父：蜂須賀宗員（1709年 - 1735年）
側室：某氏
子女
女子：友姫 - 観心院、東園基楨正室
養子
男子：蜂須賀宗純（1716年 - 1739年） - 松平忠雅の次男
男子：蜂須賀宗鎮（1721年 - 1780年） - 松平頼煕の次男
女子：元姫（? - 1742年） - 鳳台院、蜂須賀宗鎮正室、蜂須賀吉武娘

参考文献

『蜂須賀家記』

外部リンク

清浄華院 清浄華院の逸話

宗英の生涯は、藩主としての華々しい活躍とは異なる、数奇な運命を辿った人物像を浮かび上がらせます。彼の存在は、阿波徳島藩の歴史を語る上で、欠かすことのできない重要な要素と言えるでしょう。

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