蜂須賀正韶

蜂須賀正韶：徳川の血を引く侯爵の生涯

蜂須賀正韶（はちすか まさあき）は、明治4年（1871年）に生まれ、昭和7年（1932年）に没した日本の政治家であり、侯爵でした。阿波蜂須賀家第17代当主として、激動の時代を生きました。彼は徳川家斉の曾孫にあたり、その血筋は彼の一生に大きな影響を与えました。

生い立ちと教育

正韶は、阿波徳島藩最後の藩主であった蜂須賀茂韶の長男として、徳島南浜邸で生を受けました。幼名は鶴松と名付けられました。明治維新後、彼は西洋の学問に触れる機会を得て、1886年に渡英します。1890年にはケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに入学し、1895年に学士号を取得して卒業しました。この留学経験は、彼の国際的な視野を広げ、後の政治活動に活かされることになります。

宮内省での活躍と華麗なる結婚

帰国後、正韶は宮内省に入り、式部官兼主猟官、皇后主事などを歴任しました。これらの職務を通じて、彼は皇室との関係を深め、日本の政治の中枢に近づいていきます。1885年には、徳川慶喜の四女である筆子と結婚しました。婚礼は、礼法の宗家である小笠原家の監修のもと、三日間にわたり盛大に行われ、何千人もの招待客を迎える大規模なものでした。この結婚は、彼が徳川家との繋がりをより強固にするものであり、彼の社会的地位をさらに高めることとなりました。

侯爵襲爵と貴族院議員としての活動

1918年、父・茂韶の死去に伴い、正韶は家督を相続して侯爵を襲爵しました。同年3月20日には貴族院侯爵議員に就任し、政治家としてのキャリアを本格的にスタートさせます。1924年1月16日には、貴族院副議長に就任し、その手腕を発揮しました。1931年1月15日には、麝香間祗候を仰せ付けられ、その功績を認められました。

家族と晩年

正韶は、筆子との間に年子、笛子、小枝子をもうけました。1903年には長男である正氏が誕生し、彼は正氏を大政治家に育てようと夢見ていました。しかし、その夢は実現することなく、昭和7年（1932年）に脳溢血で死去しました。享年62。彼の死後には、約100万円の負債が残されたと伝えられています。墓所は徳島県徳島市の万年山墓所にあります。

栄典と外国勲章

正韶は、その功績により数々の栄典を授与されました。位階は正五位から始まり、最終的には正二位にまで昇りました。また、勲章も勲六等瑞宝章から勲二等旭日重光章まで受章しています。さらに、外国からも勲章を授与されており、大清帝国からは二等第三双竜宝星、ロシア帝国からは神聖スタニスラス第二等勲章を授与されています。

系譜

正韶の父は蜂須賀茂韶、母は不詳ですが、側室であったとされています。嫡母は徳川慶篤の娘である蜂須賀随子です。妻は徳川慶喜の四女である蜂須賀筆子です。子供には、長女の蜂須賀年子、次女の蜂須賀笛子、三女の蜂須賀小枝子、そして長男の蜂須賀正氏がいます。長男の正氏は、鳥類学者、探検家として知られています。

蜂須賀正韶は、徳川の血を引く侯爵として、日本の近代史において重要な役割を果たしました。彼の生涯は、日本の政治、文化、そして社会の変遷を映し出す鏡と言えるでしょう。

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