蝶ヶ岳

蝶ヶ岳（ちょうがたけ）

蝶ヶ岳は、飛騨山脈（北アルプス）に位置する標高2,677mの山です。常念山脈の稜線上にあり、常念岳の南に連なっています。山域はすべて長野県に属し、中部山岳国立公園内に位置しています。

概要

蝶ヶ岳の山頂は、かつては三等三角点（標高2,664.32m）のある場所とされていましたが、現在では最高点である長塀ノ頭（標高2,677m）が山頂とされています。山体はなだらかで、蝶ヶ池や妖精ノ池などの湖沼が点在し、二重稜線が特徴的です。この二重稜線は積雪に影響を与え、高山植物の分布にも影響を与えています。山頂付近は森林限界のハイマツ帯となっており、ライチョウの生息地としても知られています。

雪形と山名の由来

蝶ヶ岳の名前は、山腹に現れる雪形に由来しています。5月下旬から6月上旬頃、山体南側の稜線付近に白い蝶の形をした雪形が現れます。この雪形は、安曇野地域から農作業の目安とされてきました。また、同時期には、三角点付近の稜線に黒い蝶の雪形も現れます。山岳写真家の田淵行男は、この白い蝶の雪形をミヤマモンキチョウに例えました。

登山

記録に残る初登頂は、1826年に修行僧の播隆が中田又重郎を案内人として登ったものです。その後、1933年には冠松次郎が登頂し、山頂付近の鳥居と槍ヶ岳の写真を撮影しました。1958年には、中村義親が蝶ヶ岳ヒュッテを山頂直下で開業させました。1969年には、中村義親らが3年がかりで、三股からの蝶ヶ岳新道を開設しました。

登山ルート

蝶ヶ岳には各方面から登山道が整備されており、東側の三股からの蝶ヶ岳新道が最短ルートとなっています。登山道周辺では、オオサクラソウ、クルマユリ、キヌガサソウ、シナノキンバイ、チングルマなどの高山植物が見られます。また、山頂付近の稜線や常念岳の北側の常念乗越付近では、ミヤマモンキチョウやベニヒカゲなどの高山蝶が飛び交います。

常念山脈縦走路

常念山脈の主稜線（唐沢岳 - 燕岳 - 常念岳 - 蝶ヶ岳 - 大滝山 - 霞沢岳）を縦走する登山道があります。

上高地側からのルート

上高地 - 徳沢 - 長塀山 - 妖精ノ池 - 蝶ヶ岳
徳沢 - 横尾 - 常念山脈合流点 - 蝶ヶ岳ヒュッテ - 蝶ヶ岳

安曇野側からのルート

三股 - まめうち平 - 大滝山分岐 - 蝶ヶ岳（蝶ヶ岳新道）
三郷スカイラインの展望台 - 鍋冠山 - 常念山脈合流点（大滝山の北） - 蝶ヶ岳

周辺の山小屋

山頂直下には、山小屋の蝶ヶ岳ヒュッテとそのキャンプ指定地があり、周辺の登山ルート上にも複数の山小屋があります。

地理

蝶ヶ岳は、飛騨山脈南部の常念山脈のほぼ中央部に位置しています。蝶ヶ岳の三角点北側の小ピークの岩峰は蝶槍と呼ばれています。西側には梓川を挟んで遮るものがなく、穂高岳と槍ヶ岳の山並みを一望できる絶好の展望台となっています。山頂付近からは、安曇野、浅間山、富士[[山]]、南アルプスなども望むことができます。

源流の河川

以下の河川は信濃川水系で、日本海へと流れます。

本沢（犀川の支流、その源流部に蝶沢がある）
徳沢などの梓川の支流

関連画像

蝶ヶ岳からの眺望は、雄大な山岳風景と高山植物の美しさを楽しむことができます。

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