蟠桃会

蟠桃会について

蟠桃会（ばんとうえ）は、中国神話において瑶池金母（西王母の道教称号の一つ）が主催する祭りで、彼女の聖誕を祝う伝統的な行事です。この祭りは陰暦の3月3日に行われ、陰の気が最も強まる時期とされています。

概要

この祭りは長寿と富貴の象徴とされ、別名「蟠桃勝会」、「蟠桃大会」、「蟠桃宴会」などがあります。蟠桃会では、神々や仙人たちが集まり、特別な果実である蟠桃を食することが重要な特徴です。

祭りの前に、瑶池金母は七仙女を派遣し、蟠桃園から蟠桃を摘み取ります。上級の貴仙や地位の高い神々が瑶池に集まり、祝典が盛大に行われます。この際、若く美しい女仙である麻姑が霊芝を用いた美酒を瑶池金母に捧げるためにやって来ます。

瑶池金母の蟠桃園には3600本の桃の木が存在します。手前の1200本は3000年に一度熟すとされ、食べた者は仙人となることができます。中ほどの1200本は6000年に一度熟し、食べた者に長生不老の効果が期待されます。さらに、奥の1200本は9000年に一度熟し、これを食べた者は天地の限り生き続けられると信じられています。

注意すべきは、天界と地上では時間の流れが異なり、天界の1日が地上の1年に相当するという考え方です。この概念は、浦島太郎の伝説でも同様に描かれています。

文学作品における蟠桃会

蟠桃会は、多くの文学作品にも登場します。たとえば、中国の古典『西遊記』では、果樹園の管理人である孫悟空が自分だけ招待されなかったことから怨恨を抱き、桃を盗んで食べるエピソードが描かれています。また、同じくこの作品では、沙悟浄や猪八戒も蟠桃会に関連する罰を受け、地上に追放される運命を辿ります。

『鏡花縁』では、百花仙子が蟠桃会に集う奇鳥や仙獣を呼び寄せ、嫦娥の嫉妬心が描かれます。嫦娥は百花仙子に対抗しようとしますが、結果的に失敗し、面目を潰されることになります。

さらに、『封神演義』においては、瑶池金母の娘である竜吉公主が蟠桃会の際に天規を破り、下界に落とされる運命をたどります。魔法や道教の概念が織り交ぜられた物語の中で、蟠桃会は重要な意味を持っています。

関連性のある神話

蟠桃は、「生命の樹の実」との解釈が可能であり、世界各地の神話にある生命の木と関連付けられます。また、黄金の林檎に関連するヘスペリデスの桃園と類似した側面も持ち、北欧神話に登場する黄金の林檎も神々の不老不死の源とされています。

最後に、西王母は元々、災いを司る神格であるため、蟠桃は「人間の命」とも言われることがあります。これらの要素が重なり合い、中国神話の深淵な文化と信仰を形作っています。

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