衣山駅

概要

衣山駅（きぬやまえき）は、愛媛県松山市衣山二丁目に所在する、伊予鉄道高浜線の鉄道駅です。駅には「IY07」という駅番号が割り当てられています。伊予鉄道高浜線の沿線において、当駅は三津駅や古町駅と共に、重要な交通結節点としての役割を担う主要な駅の一つと位置づけられています。

歴史

衣山駅は、1927年（昭和2年）11月1日に開業しました。駅の歴史は、伊予鉄道高浜線の複線化および単線化の変遷と深く関わっています。開業後、1931年（昭和6年）7月8日には高浜線全線の複線化が達成されましたが、第二次世界大戦中の金属供出要請により、1945年（昭和20年）2月21日には再び単線に戻されるという経緯をたどりました。

戦後、路線の再整備が進められ、段階的に複線化が再開されました。まず、1957年（昭和32年）12月26日には衣山駅と古町駅の間が、続いて1964年（昭和39年）7月16日には三津駅と衣山駅の間がそれぞれ再び複線として開通しました。また、1995年（平成7年）8月21日には、駅とその周辺の高架化工事が実施されたことに伴い、元の位置から高浜方面へ約100メートル移設されました。

駅構造

衣山駅は、一つのホームが二本の線路を挟む形態の島式ホーム1面2線を有する地上駅です。駅員が常駐する有人駅として運営されています。改札口はホームの延長上に設けられており、改札を通過して駅の外へ向かうためには、必ず構内にある踏切を横断する必要があります。

ホームの有効長は、18メートル級の電車が3両連結された編成に対応できるよう設計されています。駅の設備としては、ホーム上には伊予鉄道の電車やバスの現在位置を表示するロケーション案内システム用のモニターや、次にホームに到着する電車の情報を表示する発車標が設置されています。改札口には、伊予鉄道が導入しているICカード「ICい～カード」に対応した簡易型の自動改札機が導入されており、改札の手前左側には乗車券を購入するための自動券売機が設置されています。

伊予鉄道高浜線において、人身事故の発生や信号設備の故障といった不測の事態が発生した場合、古町駅または三津駅で列車の折り返し運転が実施されることがあります。衣山駅と古町駅の間は線路が高架化されており、構内踏切を除けば一切踏切が存在しません。この構造的な特徴から、緊急時にはこの区間を単線並列のような形で活用し、運行の維持を図ることが可能な場合があります。

利用状況

衣山駅の利用状況は、近年増加傾向にあります。例えば、2015年度における一日の平均乗降人員は約2,114人でした。これは、1998年度の約1,600人と比較すると、利用者数が大幅に増加していることを示しています（この数値には伊予鉄バスの利用者は含まれていません）。この利用者数の増加は、駅周辺で進められている開発や商業施設の集積が影響していると考えられています。

駅周辺

衣山駅の周辺地域は、大型商業施設を中心に活気に満ちています。特に、流通大手であるフジ・リテイリングが運営するショッピングセンター「パルティ・フジ衣山」が地域のランドマークとなっており、この施設周辺には映画館やゲームセンターといった娯楽施設、そして様々なジャンルの飲食店が多数集まっています。そのため、特に昼食の時間帯には多くの人々で賑わいます。近年では、コンビニエンスストアなど、日常生活に必要な様々な業種の店舗も相次いで出店しており、駅周辺の利便性がさらに向上しています。

駅前には、伊予鉄バスの「衣山駅前」停留所が設置されており、バス路線との乗り換えも可能です。周辺には、教育施設である松山聖陵高等学校、郵便局である松山衣山町郵便局、企業の拠点である明屋書店本社などが立地しています。また、衣山金毘羅神社や三島神社といった地域に根差した神社も点在しています。

隣の駅

伊予鉄道高浜線における衣山駅の隣接駅は以下の通りです。

* 西衣山駅 (IY06) - 衣山駅 (IY07) - 古町駅 (IY08)

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