西厳寺 (長野市)

西厳寺の概要

西厳寺（さいごんじ）は、長野県長野市に所在する真宗大谷派の寺院です。この寺院は、山号を成田山、院号を安養院とし、本尊には阿弥陀如来が祀られています。西厳寺は、信仰の場であると共に、地域の文化や歴史の重要な支柱として、多くの人々に親しまれています。

歴史的背景

西厳寺の歴史は、平安時代に遡ります。伝説によると、平維茂の子孫である成田下総守政晴は、鎌倉幕府将軍の藤原頼経について下総国に下った後、仏の道に入ります。彼は、著名な宗教指導者である親鸞の弟子として出家し、「空晴」と名乗ります。

空晴が建武8年（1256年）に下総国の磯部に西厳寺を創建したことが、寺院の始まりとされています。その後、信越地方ではこの寺院を中心に、多くの寺院が連携し「磯部6か寺」というネットワークが形成されました。これには、西久保勝善寺や普願寺、中俣勝善寺などが含まれています。

元弘元年（1331年）には、寺院が関東の戦火で焼失しましたが、延元元年（1336年）に駒沢兵部少輔によって移転されました。その後、蓮如上人が訪問したこともあり、彼の滞在期間に名所として知られる「蓮如堂」が建設され、ここから一向宗が北信濃に広がる足場が築かれました。

武士との交わり

永禄11年（1568年）、武田信玄が西厳寺の寺領を保護しました。この時期、寺院は地域の防衛においても重要な役割を果たし、上杉氏が攻めてくる際には、寺院の信者が兵を供出することが求められました。また、天正5年（1577年）に大坂石山本願寺への兵糧支援も行われ、寺院は戦乱の時代においても仏教の精神を支え続けました。

現在の西厳寺

境内には歴史的な文化財が多く存在します。鐘楼や太鼓堂だけでなく、蓮如の袈裟を掛けたとされる大銀杏や、教如の長女である智光院妙空禅尼の墓もあります。また、古文書も数多く残っており、親鸞の木像に関する文書や、北信濃の11か寺に宛てた礼状などが保存されています。

毎年4月25日には「蓮如忌」が行われ、地域の人々が集まり蓮如上人を偲ぶ重要な行事となっています。この日には、さまざまな法要が執り行われ、多くの参加者が仏教の教えを学び、信仰を深める機会となっています。

西厳寺は、信仰の対象であるだけでなく、地域の歴史や文化に深く根ざしており、訪れる人々に先人たちの教えや思いを伝える重要な場となっています。

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