西塘 (琉球の人物)

西塘（にしとう）は、16世紀頃に活躍したとされる人物で、琉球の竹富島に生まれました。

1500年、12歳の時にオヤケアカハチの乱鎮圧のため竹富島に遠征してきた琉球王府軍の大将・大里按司に、その聡明さを見出され首里へと連れられました。首里では法司（三司官）の家に仕え、成人してからは学問に励んだとされています。

西塘は石工技術に長けており、1519年には、世界遺産にも登録されている園比屋武御嶽（そのひゃんうたき）の礼拝所となる石門を建築したことで知られています。この石門は、石工としての彼の才能を示す代表的な業績の一つです。

琉球の正史の一つである『球陽』によれば、1524年、西塘は望郷の念から故郷への帰郷を願い出ました。その功績が認められ、王府の代官である武富大首里大屋子（たけとみおおしゅりうふやこ）に任ぜられ、前任の代官であった満挽与人（まんびきよんちゅ）と交代し、八重山諸島を治めることとなりました。当初、拠点を竹富島に置いていましたが、土地が狭く不便であったため、石垣島に移転し公倉を建てました。

史料によっては、その後も数十年間にわたり琉球に滞在し続けた形跡があり、1544年から2年をかけて行われた首里城の城壁建設にも関わった可能性が指摘されています。

竹富島には、園比屋武御嶽の神を勧請して国仲御嶽（くになかうたき）を造成しました。この国仲御嶽は、八重山諸島において唯一、王府の神につながる御嶽として重要な意味を持っています。

西塘の死後、竹富島には西塘御嶽が作られ、その功績を讃え、現在も島民から信仰されています。

また、竹富島に蔵元を設置し、八重山諸島を統括するなど、地域の発展に大きく貢献しました。

参考文献

沖縄大百科事典刊行事務局編『沖縄大百科事典』沖縄タイムス、1983年。
新城俊昭『教養講座琉球・沖縄史』（改訂版）編集工房東洋企画 (発売)、2019年。ISBN 9784905412298。

関連項目

琉球王国
オヤケアカハチの乱

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