西尾昇

西尾 昇（にしお のぼる）

西尾昇（1923年1月7日 - 2016年）は、日本を代表する映画録音技師であり、日本映画テレビ技術協会の会友でもあります。もともとの活動名は西尾浩伸（にしお ひろのぶ）で、山梨県南巨摩郡飯富村に生まれました。

経歴と出発点

彼の録音技師としての道は、幼少期に観た映画『キング・コング』によって開かれました。この作品は松竹洋画系の本郷座で上映され、西尾はその映像と音楽に深く感動しました。特に、当時のトーキー映画としての迫力に魅了され、録音技師を目指すきっかけとなったのです。彼は友人と共に、学校の先生に促されて映画を観に行っていたことも思い出に残っています。

1941年に電機学校を卒業した西尾は、1943年に朝日映画社に入社。その後、1948年に独立し、「西尾サウンド」を設立します。この独立後、西尾は東宝、大映、東映などの独立プロ作品の録音を手掛け始めました。

技術革新と業界貢献

彼のキャリアの中で特に注目すべきは、1977年の東京映画の移転を機に自らの事務所を閉じ、東宝映像に移籍したことです。ここで役員としての活動を開始するとともに、東宝録音センターの運営に携わるようになります。1981年には、日本で初めてドルビーステレオ方式を導入し、国産光学録音機によるステレオ光学録音を行い、邦画業界にオプチカルステレオの波をもたらしました。

1991年には、映画『ゴジラvsキングギドラ』において、音楽プロデューサーの岩瀬政雄の支援のもと、伊福部昭監督の要請で音楽収録を成功させました。これにより、平成ゴジラシリーズにおける伊福部音楽の復活に貢献しました。また、1993年にはドルビーデジタル5.1chサラウンドフォーマットを導入し、これも大きな成功を収めました。その後、1995年には退職し、テクノロジーコンサルタントとして新たな道を歩み始めました。

受賞歴

西尾昇の功績は非常に高く評価されており、彼は以下の受賞歴を持っています。

• - 1994年には第47回日本映画技術賞 録音特別賞を受賞。
• - 1999年には第32回日本映画テレビ技術協会 増谷賞を授与されました。
• - さらに、2006年には第29回日本アカデミー賞 協会特別賞を獲得しています。

西尾昇は、その技術と情熱によって日本映画界に不可欠な存在となり、後の世代に多大な影響を与え続けました。彼の業績は、録音技術の革新としてこれからも語り継がれていくことでしょう。

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