西川鉄次郎

西川 鉄次郎

西川 鉄次郎（にしかわ てつじろう）は、嘉永6年12月24日（1854年1月22日）に会津藩士の子として生まれ、昭和7年（1932年）6月1日に80歳でその生涯を閉じた人物です。幕末期には会津藩士として戊辰戦争を戦い、明治時代には法曹界で活躍し、日本の近代司法の発展に貢献しました。裁判官として最高裁判所に相当する大審院の判事を務めたほか、現在の中央大学にあたる英吉利法律学校の創立者の一人としても知られています。

戊辰戦争と青年期

父、西川俊治は禄高6石5斗2人扶持で御書簡所物書勤めという藩士でした。鉄次郎は16歳で戊辰戦争を迎え、白虎隊士として戦列に加わります。白虎寄合二番隊士として、慶応4年（1868年）8月からは越後方面での戦闘に身を投じましたが、やがて会津若松城への退却を余儀なくされ、9月6日からは城内の三の丸警備にあたりました。

学問の道へ

戦後、西川は静岡藩への留学の機会を得て、沼津兵学校附属小学校で学びました。その後、日本の近代法学教育の草創期において、明治11年（1878年）に旧東京大学法学部を卒業します。彼はこの学部における最初の卒業生の一人であり、当時の卒業生はわずか6名という少数精鋭でした。同期には河上謹一などが名を連ねる中、西川は首席という抜群の成績で卒業しました。

官僚から法曹界へ

大学卒業後、西川は外務省に入省し、大使館書記生として英国に留学してさらに見聞を広めました。帰国後の明治14年（1881年）には内務省へ移り、明治17年（1884年）からは文部省に勤務しました。文部省在職中には、日本の法学教育の充実に向けた重要な貢献をします。増島六一郎、菊池武夫、江木衷、穂積陳重ら、当時の若手法律家18名と共に、英吉利法律学校を創立したのです。この学校は、現在の名門私立大学である中央大学の前身となりました。西川自身も創立者の一人として、学校で保険法などの講義を担当し、後進の育成にも力を注ぎました。

明治19年（1886年）4月、西川は文部省書記官から裁判官へと転身します。東京始審裁判所の判事として法曹界でのキャリアをスタートさせた後、水戸地方裁判所長、横浜地方裁判所長などを歴任し、各地で司法行政に携わりました。

大審院判事としての活躍と晩年

明治31年（1898年）からは、旧憲法下の日本の最高裁判所であった大審院の判事に任命され、国の司法判断における中枢を担いました。大審院判事在任中には、重要な判例を収録した『大審院判決摘要類纂』の校閲にも関わっています。

その後、明治35年（1902年）には函館控訴院長、明治39年（1906年）からは長崎控訴院長を務めました。司法官として長年にわたり貢献した功績により、従三位勲二等の栄典を授けられています。また、故郷である会津にゆかりのある人々の集まりである会津会の会員でもありました。

西川鉄次郎は、激動の幕末から明治にかけて、白虎隊士として戦い、法律家として学び、近代日本の司法制度の確立と発展に尽くした波乱に富んだ生涯を送りました。享年80歳。墓所は青山霊園附属立山墓地にあります。

栄典・授章・授賞

位階
明治36年（1903年）9月30日 - 従四位
明治41年（1908年）8月20日 - 正四位
勲章
明治33年（1900年）12月20日 - 勲四等瑞宝章
明治39年（1906年）4月1日 - 勲二等瑞宝章

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