西文氏

西文氏（かわちのふみうじ）とは

西文氏は、百済から渡来した王仁を始祖とする渡来系の氏族です。主に河内国古市郡（現在の大阪府羽曳野市周辺）を本拠地としていました。古代の日本において、文筆を司る役目を担い、朝廷の文化的な活動に深く関わりました。大和国の東漢氏に対して、西文氏と称されました。

西文氏の歴史

西文氏の姓は、当初は「首」でしたが、天武天皇の時代に「連」を賜り、後に「忌寸」となりました。さらに、延暦年間には「宿禰」の姓を賜りました。これは、西文氏が朝廷において重要な役割を果たしていたことを示しています。

5世紀から6世紀にかけて、西文氏は活発な経済活動を展開し、その経済力を背景に、倭王政府の使節としても活躍しました。当時の国際情勢において、西文氏が重要な役割を担っていたと考えられます。

『日本書紀』には、雄略天皇の時代に、飛鳥戸郡の田辺史伯孫の娘が、古市郡の書首加竜に嫁いだと記録されています。これは、西文氏が当時の社会において、一定の地位を確立していたことを示唆しています。

西琳寺と西文氏

西文氏は、西琳寺を氏寺としていました。西琳寺に伝わる縁起書『西琳寺文永注記』によると、推古天皇27年（619年）に、書大阿斯高君（文首阿志高）とその子である支弥高首、またその子である栴檀高首、さらに土師長兄高連、羊子首、韓会古首らが西琳寺を創建したとされています。このことから、西文氏が仏教の普及にも関わっていたことが伺えます。

西琳寺は、西文氏の氏寺として、その歴史と文化を今に伝える重要な場所です。

壬申の乱と西文氏

672年の壬申の乱では、西文氏の書根麻呂が大海人皇子側について戦いました。このことから、西文氏が当時の政治情勢にも関与していたことがわかります。書根麻呂の子である文馬養は、『万葉集』に二首の歌が採録されており、その文化的な才能も示されています。

まとめ

西文氏は、百済から渡来した王仁を始祖とする渡来系氏族であり、文筆の才能を活かして朝廷に仕えました。経済活動も活発で、倭王政府の使節としても活躍しました。西琳寺を氏寺とし、その歴史と文化を今に伝えています。西文氏の活動は、古代日本の政治、経済、文化に大きな影響を与えたと考えられます。

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