忌寸

忌寸（いみき）とは

忌寸（いみき）は、飛鳥時代の684年（天武天皇13年）に制定された八色の姓において、上から4番目に位置づけられた新しい姓（かばね）です。この姓は、国造の流れを汲む大倭氏や凡川内氏、そして渡来系の氏族である東漢氏や秦氏など、元々「連（むらじ）」の姓を持っていた11の氏族に対して与えられました。特に、秦氏や漢氏といった渡来系の氏族に多く授与されたことから、渡来系氏族に多い姓として知られています。

忌寸の成立と変遷

忌寸は、当初「伊美吉」と表記されていましたが、天平宝字3年（759年）10月辛丑の日に「忌寸」へと改められました。この変更は、漢字表記の統一と、より神聖な意味合いを込める目的があったと考えられています。「寸」の字は、ひらがなの「す」の元となった漢字として知られていますが、この時代には「き」と発音されていたことがわかります。

忌寸を賜った氏族

忌寸の姓を賜った主な氏族としては、以下のような氏族が挙げられます。

大倭氏（おおやまとし）
凡川内氏（おおしこうちし）
東漢氏（やまとのあやし）
秦氏（はたし）

これらの氏族は、それぞれが有力な氏族であり、忌寸の姓を授与されたことは、彼らの社会的な地位をさらに高めることとなりました。

八色の姓における忌寸の位置づけ

八色の姓は、天武天皇が制定した新たな氏姓制度であり、それまでの氏姓制度を大きく変革するものでした。忌寸は、この八色の姓の中で上から4番目に位置づけられ、その上位には真人（まひと）、朝臣（あそみ）、宿禰（すくね）がありました。この順位は、氏族の序列を示すものであり、忌寸を賜った氏族は、一定の政治的・社会的地位を保証されたことになります。

忌寸が示す歴史的意義

忌寸は、古代日本の社会構造を理解する上で重要なキーワードです。この姓の成立と変遷は、当時の政治状況や氏族間の関係性を映し出しています。また、渡来系氏族に多く授与されたことは、当時の日本社会における渡来人の役割と影響力を示すものと言えるでしょう。

参考文献

『角川第二版日本史辞典』p81、高柳光寿・竹内理三：編、角川書店、1966年
『岩波日本史辞典』p86、監修：永原慶二、岩波書店、1999年
『日本書紀』（五）、岩波文庫、1995年
『日本書紀』全現代語訳(下）、講談社学術文庫、宇治谷孟：訳、1988年

関連項目

* 八色の姓

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