西斗月拳

西斗月拳

『蒼天の拳』に登場する西斗月拳（せいとげっけん）は、武論尊監修、原哲夫作による架空の拳法です。北斗神拳の源流とも言えるこの拳法について、その概要、歴史、技、そして使い手を詳しく解説します。

概要

西斗月拳は、古代中央アジアから西アジアにかけて栄えた月氏族によって興された拳法です。史実では、月氏族はインドから中国へ仏教の経典を運び、仏教を伝えた最初の民族として知られています。遊牧民である月氏のルーツは古代メソポタミアにまで遡り、西斗月拳の萌芽はシルクロードを辿る時代にペルシアから伝わったと考えられています。

西斗月拳は「点穴」を極めることを目的とした拳法であり、北斗神拳の代名詞とも言える秘孔突きは、西斗月拳の点穴の術を取り入れたものです。しかし、西斗月拳が一撃必殺を目指すのではなく、戦場において複数の経絡秘孔を突くことで敵に致命傷を与えることを重視します。一方、北斗宗家の拳は受け技に特化しており、同門同士での実戦的な戦闘能力は高くありませんでした。北斗宗家きっての天才であるシュケンが西斗月拳の門弟となったことで、北斗宗家の拳と融合し、一撃必殺の秘孔術を完成させ、地上最強の暗殺拳である「北斗神拳」を極めるに至りました。北斗神拳に受け継がれる「狼の血」は、西斗月拳から伝えられたものとされています。

歴史

北斗宗家の高僧たちは、シュケンに西斗月拳が悪用されるのを防ぐため、西斗月拳の高弟たちを皆殺しにするよう命じます。しかし、シュケンの愛した女弟子ヤーマは、シュケンの子を身ごもったまま谷に身を投げ、奇跡的に一命を取り留めてシュケンの子を出産します。その事実はやがて月氏の人々に知られることとなり、ヤーマは我が子の命と引き換えに自害します。

劇中では、ヤサカがシュケンとヤーマの子孫であることが明かされますが、2000年前に滅亡したはずの西斗月拳が、どのようにして1930年代のヤサカに伝承されたのかは謎のままです。

使い手

ヤーマ
シュケン（北斗宗家の拳と組み合わせて北斗神拳を創始）
ヤサカ

ヤサカは、極十字聖拳の流飛燕を少年の囮で不意打ちし、秘孔を突いて捕らえました（この時は手で直接突かず、針状の飛び道具を使用）。その後の飛燕との一騎打ちでは、飛燕を北斗神拳を見切るための試しの相手として扱い、死を覚悟して相打ちを狙った飛燕に手傷を負わせるに留まりました。

霞拳志郎とは、飛燕との戦いで負った傷を抱えながらも互角に渡り合い、拳志郎の繰り出す北斗百裂拳を紙一重で見切って死んだふりをするなど、実力を見せつけました。また、「天授の儀」に臨む直前の劉宗武に挑み、宗武の必勝の拳をかわしてみせました。

技

技の詳細は不明な点が多いですが、北斗劉家拳の劉宗武に手傷を負わせるほどの拳力を秘めていることが伺えます。元祖であることから、経絡秘孔を操る術においては北斗神拳と同等か、それ以上である可能性も考えられます。ヤサカ自身が「戦場の拳」と豪語するように、忍び寄っての「暗殺拳」である北斗神拳とは異なり、戦場の混乱の中で相手を倒すことに特化した拳法であると言えます。

操孔針

ヤサカが流飛燕を捕えるために使用した技。秘孔を操作するために、相手の体に針を打ち込みます。針を突き立てられた者は、西斗月拳の使い手に身体の自由を奪われてしまいます。

奥義

相雷拳

ヤサカが捕らえた流飛燕に対し「負けはない」と言い放った奥義。後に飛燕との戦いで使用します。拳を背に隠して相手に間合いを計らせず、その状態で相手に攻めかかるものですが、飛燕の拳によって自身も傷を負い、一見すると相打ちに見えます。しかし、この奥義の真髄は、事前に複数の秘孔を突いておき、相雷拳での突きが止めの一撃となる点にあります。実際に、飛燕は相雷拳を受けた直後、傷つきながらも立っているヤサカとは対照的に、「放っておいても衰弱して死ぬ」ほどの重傷を負いました。

関連項目

北斗神拳
北斗琉拳
蒼天の拳
* 北斗の拳の技一覧

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