経絡秘孔

経絡秘孔とは

経絡秘孔（けいらくひこう）は、漫画『北斗の拳』および『蒼天の拳』に登場する、人体における架空の急所です。この概念は、少林寺拳法の開祖である宗道臣が、人間の急所である経穴を表現した言葉に由来するとされています。

概要

経絡とは、東洋医学において気の流れを示すルートであり、その要所が経穴（ツボ）として知られています。鍼灸治療では、この経穴が用いられます。

『北斗の拳』や『蒼天の拳』の世界では、北斗神拳や西斗月拳といった拳法において、これらの経穴、特に秘孔を突くことで、敵を破裂させたり、人体を強化したりすることが可能とされています。作中では、708個もの秘孔が発見されているとされ、その名称や位置は実際の経穴と一致するものや、一部改称されたものが多く用いられています。しかし、中には明らかに位置が異なるものも存在します。

南斗聖拳においても、北斗神拳ほどではありませんが、秘孔を利用した技が存在します。例えば、南斗六聖拳の一人であるレイは、ケンシロウと協力して、相手を一時的に仮死状態にする秘孔を突いています。

また、北斗琉拳にも同様に、経絡破孔と呼ばれるものが存在し、人体の要所（破孔）を突くことで、人体に様々な変化をもたらします。破孔は、『北斗の拳』の時点で1109個発見されています。

日本の少林寺拳法には、「圧法」という高段者のみが使える秘術があり、漫画『北斗の拳』の作者である原哲夫は、この圧法を取材した際に着想を得たとされています。初期の読み切り版『北斗の拳』には「泰山寺拳法」という流派が登場しますが、その建物は日本少林寺拳法の本部に酷似しています。

編集者の堀江信彦が、必殺技のヒントを探していた際、中国の医学生がツボの研究中に目のツボを刺激しすぎて目を悪くしたという記述を医学書で見つけたことが、経絡秘孔のアイデアのきっかけになったと、堀江自身が語っています。

秘孔一覧（一部）

頭維（四合）: 突いた指を抜いてから3秒後に死亡。
頭顳: 脳の動きを麻痺させ、一時的に動けなくする。記憶を消去・操作する効果も。
命門: 突かれてから1分後、背骨が折れる。
明見: 意思とは無関係に腕が左右に広がり続ける。
定神: 錯乱状態の者を落ち着かせる。
瞳明: 眼球を裏返して視力を奪う。
新一: 相手の質問に無意識に答えてしまう。
新伏免: 両腕を背後に回させ、動くと爆死する。
頬内: 顎の力を失わせる。
大胸筋: 筋肉を脂肪に変え、最終的に体を硬直させる。
健明: 視力を回復させる。
龍頷: 痛覚神経を剥き出しにする。
戦癰: 両腕を真横に伸ばしたまま動けなくする。
膝限: 自分の意志とは無関係に足が後退する。
牽正: 膝、首、腕が反対方向に曲がり、快感を得ながら死亡。
新血愁: 不定期に体のどこかが激痛と共に壊れ、3日後に全身から血を噴き出して死亡。
心霊台: 新血愁の効果を遅らせるが、激痛を伴う。
新膻中: 使用者の指示なしには動けなくなる。
頸中、下扶突: 強烈な痛みが持続する。
児鳩胸: 目の遠近感を狂わせる。
人中極: 最も破壊力が高く、突かれて3秒後に死亡。
刹活孔: 一時的に強力な力を得るが、寿命が縮む。
鏡明: 手が破裂し、崩れ去る。
解唖門天聴: 自分の意志とは無関係に口を割り、逆らうと肉体が崩壊。
喘破: 息を吐けても吸えなくなる。
上血海: 片足が一時的に動かなくなる。
戈穴: 戦闘を有利に進めるための秘孔。
詞宝林: 北斗宗家の封印を解き、碑文を解読可能にする。
安騫孔: 毒素への抵抗力を高める。
王柱: 立位、歩行に関わる。
亜血愁: 出血や激痛を止める。
椎神: 動きを止め、歩行を困難にする。
閉血愁: 苦痛を和らげ、心臓を緩やかに停止させる。
上顎: 自分の意志に関係なく質問に答える。
止動穴: 効果は不明。
忘神: 徐々に記憶を取り戻す。
全知: どんなものでも飲み干すが、動作をやめられなくなる可能性も。
風厳: 術者の言うことを何でも聞く。
鬼床: 歯が抜け、目玉が飛び出る。
大指甲根: 声が出なくなる。無理に出すと喉が破裂。
死破骨: 激痛と引き換えに免疫細胞の能力を一時的に向上させるが、余命が尽きる。

破孔一覧（一部）

悶堪孔: 致命的な破孔。
経星: 封じられた記憶を取り戻す。
死環白: 一時的に視覚、情愛、記憶を失い、再び目を開いた時に初めて見た人に愛情を捧げる。

その他

激振孔: 心臓の運動を急激に増幅させ、血管を破裂させて死亡させる（アミバが発見したと主張する秘孔）。
天悶、神蛾、胸凶
出すっきゃねぇでしょのツボ: 『ルパン三世VS名探偵コナン』に登場。ルパンが自動販売機に対して使用。

秘孔が効かない場合

経絡秘孔や経絡破孔は、突けば必ず効果が現れるわけではありません。様々な要因で無効化されることがあります。以下に例を挙げます。

秘孔を突かれても、それよりも先に絶命した場合: 効果が抑えられる。
損傷の度合い: 全身を切断された場合でも、生物学的に生きている状態なら効果が現れる場合がある。
秘孔の位置がずれている場合: 秘孔を突いたつもりが外れていた場合、効果は現れない。
秘孔の効果を打ち消す秘孔が存在する場合: 例：新血愁に対する心霊台。
秘孔封じ: 北斗神拳の奥義。
特異体質: サウザーのように秘孔が表裏逆の位置にある場合、通常の秘孔は効かない。
元斗皇拳流の「秘孔封じ」: 戈穴を突かれても、その周囲の細胞を焼き尽くして無力化する。
魔闘気: 周囲の空間を歪めることで秘孔を正確に突けなくする。
北斗宗家の秘拳における受身の技: 攻撃力を封じる。
信仰心: 狂信的な信者は、致命的な秘孔を突かれても戦い続けることがある。
死環白の効果を打ち消す: 記憶を奪うことで強引に打ち消す。
「気」のコントロール: 気を上手くコントロールできなければ、秘孔は効かない。
秘孔変位: 北斗孫家拳の奥義。秘孔の位置を変える。
点穴の術破り: 秘孔を突く際にわざと前進して秘孔を深々と突き刺させる事で効果を打ち消す。
肉体の治癒速度: 秘孔の効果が伝わる速度よりも、肉体の治癒速度が早い場合も無効化される。

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