西方寺 (佐世保市)

西方寺（さいほうじ）

長崎県佐世保市八幡町に位置する西方寺は、曹洞宗の寺院で、山号を東陽山と称します。寺紋には平戸藩松浦氏から拝領した三つ星紋が用いられており、本尊には釈迦如来、鎮守堂には秋葉大権現が祀られています。

歴史

西方寺は1203年（建長2年）に皈一香林によって創建され、当初は臨済宗の寺院でした。その後、一時的に無住となり荒廃しましたが、1457年（長禄元年）に地頭の赤崎氏が菩提寺として現在地に移し、天翁鳳清を招いて曹洞宗寺院として再興されました。平戸藩の統治下では15石の寺領が認められていましたが、明治初期の廃仏毀釈により再び荒廃しました。

しかし、海軍佐世保鎮守府の設置に伴い佐世保の人口が急増すると、寺運も回復し、炭鉱主の藤原氏からの多大な寄進により堂宇の整備が進みました。また、佐世保川の氾濫で万徳町にあった放光山万徳寺が流失したため、西方寺が万徳寺を合併し、山号を放光山西方寺と改称しました。

太平洋戦争中の1944年（昭和19年）頃からは、西方寺は日本陸軍に接収され、本堂や位牌所に兵士があふれる事態となりました。また、寺の下に撃墜された米軍のB-29爆撃機が展示されていたという話も残っています。1945年（昭和20年）6月28日から29日にかけての佐世保大空襲では、本堂を含むすべての建物が焼失しました。過去帳は防空壕に保管されていたため戦火を免れましたが、昭和20年度の過去帳だけが焼失しています。この空襲で佐世保市役所も全焼したため、一時的に西方寺が過去帳から死亡証明書などを発行していました。

西方寺の地下には、市役所から佐世保北運動場の校門前まで続く大規模な地下壕（防空壕）が存在します。朝鮮戦争開戦時には、国籍不明機が日本海に飛来すると防空警報が発令され、地域住民が防空壕の入口に集まっていたそうです。地下壕の大部分は崩落または整地されていますが、一部は当時の姿を残しています。

戦後の1965年（昭和40年）には本堂が再建され、山号を元の東陽山に戻しました。その後も順次、堂宇の再建が進められています。

アクセス

西肥バス（させぼバス含む）「佐世保市役所前」バス停下車。

周辺情報

西方寺の周辺には以下の施設や史跡があります。

国道35号
佐世保市役所
佐世保市水道局
長崎県立佐世保北中学校・高等学校
亀山八幡宮
ホテル万松楼
社会福祉協議会
吉村長策 墓地
役夫死者の碑
秋葉大権現・鎮守
磨崖仏 新佐世保八十八ヶ所霊場 第66番札所
田中穂積 美しき天然の碑
* 種田山頭火 句碑

外部リンク

佐世保∴西方寺 Homepage

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