西方寺 (郡山市)

西方寺（さいほうじ）

西方寺は、福島県郡山市日和田町に所在する天台宗の寺院で、正式には廣澤山正覚院西方寺と称します。この寺は、858年に慈覚大師円仁によって開かれた庵が起源とされ、長い歴史と豊かな文化を今に伝えています。

概要

西方寺は、その歴史の中で数々の文化財を育んできました。特に注目すべきは、県指定重要文化財である「木造大日如来坐像」と、市指定重要有形文化財である「蛇骨地蔵堂」です。また、境内には市指定天然記念物である「西方寺の傘マツ」も存在し、訪れる人々を魅了しています。中でも、蛇骨地蔵堂は、その独特な歴史と伝説から、観光名所としても広く知られています。

歴史

西方寺の歴史は、平安時代初期にまで遡ります。858年、慈覚大師円仁が東国を教化するために旅をした際、この地に庵を結び、自ら阿弥陀如来を刻んで安置したのが始まりとされています。その後、990年には恵心僧都源信がこの庵を訪れ、薬師如来三尊仏を納めたと伝えられています。1508年、栄光法師を初代住職として、現在の西方寺が建立されました。しかし、その後、天正年間、1599年、1752年の三度の大火に見舞われ、本堂は焼失しています。

1876年、東勝寺が廃寺となった際、本尊の大日如来像が西方寺に移され、同時に蛇骨地蔵堂も境内に組み込まれることとなりました。1953年には、「木造大日如来坐像」が県指定重要文化財に、「日和田のイチイ」が県指定天然記念物に指定されています。そして、1996年、280年ぶりに本堂が再建され、落慶法要が執り行われました。さらに、2000年には「蛇骨地蔵堂」が市指定重要有形文化財に、「西方寺の傘マツ」が市指定天然記念物に指定され、現在に至ります。

文化財等

蛇骨地蔵堂

蛇骨地蔵堂は、西方寺の境内にある市指定重要有形文化財で、713年に開かれたと伝えられています。現在の建物は、1718年に二本松藩4代藩主丹羽秀延によって再建されたもので、江戸時代後期の仏堂建築の様式をよく残しています。本堂から南へ約80m離れた場所に位置し、参道も別に設けられています。蛇骨地蔵堂は、西方寺の境内でありながら、独立した観光名所として紹介されることも多く、その歴史と伝説が多くの人々を惹きつけています。

蛇骨地蔵堂には、『佐世姫物語』という縁起が伝えられています。この物語によると、かつてこの地に大蛇が現れ、人々を苦しめていましたが、佐世姫という女性が自らを犠牲にして大蛇を鎮め、その残された蛇骨で地蔵を彫り祀ったことで、再び平和が訪れたとされています。地蔵堂の裏には、大蛇の人身御供となった32人の娘と佐世姫を供養するための三十三観音像が安置されています。

西方寺の傘マツ

西方寺の傘マツは、市指定天然記念物で、推定樹齢250年のアカマツです。樹高は約4m、枝張りは東西南北に約11mにも及びます。「ねずみよけの松」とも呼ばれており、この松の枝を棚に飾るとねずみが寄り付かないという言い伝えがあります。蛇骨地蔵堂の前にそびえ立ち、その独特の姿は、訪れる人々の目を引きます。

木造大日如来坐像

木造大日如来坐像は、県指定重要文化財で、像高約60cmの寄木造りの仏像です。目には水晶がはめ込まれており、漆箔が施されています。鎌倉時代の作と考えられており、その精緻な造形は、見る人を圧倒します。

日和田のイチイ

日和田のイチイは、県指定天然記念物で、樹高約4.5m、推定樹齢230年のイチイの木です。蛇骨地蔵堂の庭前にあり、その緑豊かな姿は、訪れる人々に安らぎを与えます。

寺院周辺

西方寺の周辺には、安積山公園やオリエントパーク日和田などの観光スポットがあります。また、JR東北本線の日和田駅からも近く、アクセスも便利です。

交通アクセス

• - 鉄道: JR東北本線日和田駅下車徒歩5分
• - 自動車: 東北自動車道本宮インターチェンジから車で10分（駐車場あり）

脚注

外部リンク

• - 郡山市佛教会 - 西方寺
• - 郡山市観光協会 - 蛇骨地蔵堂

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