西方寺慈眼院

西方寺慈眼院について

西方寺慈眼院は、岡山県瀬戸内市に所在する寺院で、長船の刀匠たちの菩提寺として地域の人々に親しまれています。特に、備前長船最後の刀匠である横山元之進祐定によって寄進された梵鐘は、その歴史的価値から瀬戸内市の文化財に指定されています。

歴史

寺伝によると、慈眼院の創建は天平勝宝年間（749年頃）に鑑真によって伽藍が創設されたと伝えられています。その後、天長年間（824年頃）には空海によって三密瑜迦の道場として扱われました。中世には一時衰退するものの、1192年頃には小笠原将監長光によって一堂が建立され、弥陀三尊が安置されると同時に「往生山西方寺慈眼院」と命名されました。観応元年（1350年）には足利尊氏が田を寄進し、僧侶に祈祷を依頼したとされています。

その後、宇喜多直家が備前法華の影響で寺を潰そうとした際、長船越中守が田を寄進して難を逃れました。しかし、直家の次男である秀家によって寺の田は没収されてしまいます。永享年間（1429年頃）には小早川秀秋によって堂塔が焼失し、再び衰退しました。宝永年間（1704年頃）には池田綱政が寺領を寄進し、堂宇が整備された際に、山号が「往城山」から「寶城山」に改称されました。

2019年には、住職によって日本刀が描かれた絵馬が考案され、500円以上の寄付により入手できるようになりました。

びぜんおさふね名刀まつり

毎年10月上旬の日曜日には、「びぜんおさふね名刀まつり」が開催されます。この祭りでは、歴代刀匠慰霊祭が行われるほか、刀に関する様々なイベントや青空市などが催されます。また、備前長船刀剣博物館では観覧料が特別料金となり、公開鍛錬といったイベントも行われます。

山内

祐定寄進の梵鐘

慈眼院には、横山元之進祐定が寄進した梵鐘が安置されています。この梵鐘は全高93.9センチメートル、口径53.9センチメートルで、南北朝時代の作とされています。もともとは九州の筑紫神社のものだったものが、後に備前藩の池田家によって仏心寺に寄付され、その後、慈眼院の和尚である行覚の教化を受けた横山祐定（8代目）が1887年（明治20年）に取得し、寄進しました。2004年（平成16年）11月1日に瀬戸内市の文化財に指定されています。また、池の間には祐定の終焉が記されています。

鰐口

本堂正面には、享保3年（1718年）3月に林藤三郎作の鰐口が奉納されています。この鰐口は、鼓面径37センチメートル、厚さ13センチメートル、肩幅11センチメートルです。

西方寺慈眼院は、その歴史的背景と文化的な価値から、多くの人々にとって重要な場所となっています。

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